account for 〜とmake good somethingの用法について【イングロリアス・バスターズ】

タランティーノ作品で屈指の名オープニングとして知られるハンス・ランダの尋問シーン。

本日も引き続き、このシーンの名会話から、英語の勉強になる素材をピックアップしてみました。

YouTubeに動画がありましたので、まずはご覧ください。

とりあげる英文は、上の動画の0:32から。
引用したテキストは動画よりちょっと先まであります。
映画本編では9分45秒からの部分。

Landa : Now, according to these papers, all the Jewish families in this area have been accounted for, except the Dreyfuses. Somewhere in the last year, it would appear they’ve vanished. Which leads me to the conclusion that they’ve either made good their escape, or someone is very successfully hiding them. What have you heard about the Dreyfuses, monsieur LaPadite?
LaPadite : Only rumors.
Landa : I love rumors! Facts could be so misleading, where rumors, true or false, are often revealing. So, monsieur LaPadite, what rumors have you heard regarding the Dreyfuses?

ランダ「さて。これらの書類によると、このエリアのユダヤ人家族はすべて消息が確認されている。ただ唯一、ドレイファス家を除いては。昨年中に、忽然と消えてしまったらしい。つまり、彼らは首尾よく逃げおおせたか、誰かがうまいこと匿っているか、という結論になるな。ラパディットさん、ドレイファス家の消息について何か聞いているかな?」
ラパディット「あくまでも噂ですが」
ランダ「いいねえ、噂! 事実は人を惑わせもするが、噂はその真偽に関わらず、時に真実の片鱗をのぞかせる。さあラパディットさん、ドレイファス家の消息についてどんな噂を聞いている?」




be accounted for について

最初のセンテンスに be accounted for というボキャブラリーが出てきますね。account for の受動態です。

account for 〜 には以下のように2つの意味があります。

1)〜(の理由を)説明する
2)〜の割合を占める

つまり、

A accounts for B

で、

1)AはBの理由を説明する
2)AはBの割合を占める

などの意味になります。

他の映画から「〜(の理由を)説明する」の用例を探してみました。

映画『父親たちの星条旗』より
Our target, Island X, is an ugly, smelly, dirty little scab of rock called “lwo Jima”. It means “Sulfur Island,” which accounts for the smell.
(我々の目標、X島は不細工で臭くて汚いチンケな岩のカサブタ『イオウジマ』だ。その意味は『硫黄の島』つまりそんな臭いがする島だってことだ

映画『麗しのサブリナ』より
Linus : How about dinner?
Sabrina : I just remembered I didn’t have any lunch today.
Linus : You didn’t?
Sabrina : Or any breakfast, either.
Linus : That may account for a lot of things.

ライナス「夕食はどうする?」
サブリナ「そういえば、わたし今日、昼食なにもとらなかったわ」
ライナス「何も?」
サブリナ「朝食も、まったく」
ライナス「だからだよ。[きみの気持ちが不安定なのは] それでいろいろ説明がつくね」

割合を占める、の用例は映画から見つけられなかったので、辞書(Longman Dictionary)で引いた例文を引用しておきます。

Afro-Americans account for 12% of the US population.
(アフリカ系アメリカ人は合衆国人口の12パーセントを占める

さて、それでは『イングロリアス・バスターズ』のこのシーンでは、どちらの意味になるのか?

これが、そのどちらでもないんですね。

account for は、主に be accounted for のような受動態の形で

「〜の(所在が)確認されている」

という意味でもよく使われるんですね。

こちらも他の映画から用例を探してみました。

映画『スター・ウォーズ ジェダイの帰還』より
Admiral, we’re in position. All fighters accounted for.
(提督、配置につきました。全軍、揃っています

上の例は、all fighters に形容詞として accounted for が後についている形ですね。

以前「The Lonely Goatherd(抄訳付)で英語の勉強【サウンド・オブ・ミュージック】」という記事で a- ではじまる形容詞は名詞の後ろにくると解説しましたが、これもそのケースです。

make good something

さて、本日はもうひとつ、注目したいボキャブラリーがあります。

それが、こちらのセンテンス。

they’ve made good their escape
(彼らはうまく逃げることに成功した)

この

make good something

という熟語。

これで、

1)〜を成し遂げる
2)〜を修復する(償う)

などの意味になるんですね。

『イングロリアス・バスターズ』のこのシーンの場合は「成し遂げる」の用例です。

もうひとつの「修復する」の用例を他の映画から引っ張ってこようと思ったんですが、見つからなかったので、辞書(Longman Dictionary)から例文を上げておきます。

Tenants will be required to make good any damage.
(賃借人はすべての損傷を修復する義務があります)

made の用法としてはなかなか高度な言い回しですね。

その他の注目ボキャブラリー

according to 〜 = 〜によると

it would appear (that) 〜 = どうやら〜のようだ

vanish = 消える

lead to the conclusion that 〜 = 〜という結論に達する

regarding 〜 = 〜に関して

the Dreyfuses = ドレイファス家
名字に the をつけて複数形の -s をつけると、「〜家」という意味になる。

おわりに

最後はこの、ハンス・ランダの格言のような名言に言及してこの記事を終わりにしたいと思います。

Facts could be so misleading, where rumors, true or false, are often revealing.
(事実は人を惑わせもするが、噂はその真偽に関わらず、時に真実の片鱗をのぞかせる)

ハンス・ランダはユダヤ人家族を匿っているラパディット氏を、真綿で首を絞めるようにじわじわと言葉で追い詰めているわけですが、この言葉にも「噂話をでっち上げてごまかそうとしても、こちらはちゃんと真実を見抜けるんだぞ」みたいなプレッシャーを与えている気がしますね。

少なくともラパディット氏の耳にはそんなニュアンスに響いているはずです。

怖いですねえ。

しかし、これはまだ序の口。

ラパディット氏には早く終わってほしいでしょうが、ハンス・ランダとの名ダイアローグはまだまだ続く……

というわけで、次回もハンス・ランダ先生に登場していただきます。

クリストフ・ヴァルツ

ハンス・ランダ役のクリストフ・ヴァルツ

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