ドラマ『ガールフレンズ・オブ・パリ』シーズン1 フランスのドラマも捨てたもんじゃない

ガールフレンズ・オブ・パリ
出典:imdb
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作品データ

原題:Plan coeur (saison 1)
監督:ルノー・ベルトラン、ノエミ・セリオ
脚本:クリス・ラング、ノエミ・セリオ、他
出演:ジタ・アンロ、マルク・ルシュマン、サブリナ・ウアザニ、ジョセフィーヌ・ドライ
制作:2018年、フランス

あらすじ(ネタバレなし)

パリに住むエルザは、昔の恋人を引きずりなかなか次の幸せをつかめずにいた。そんなエルザを見かねた親友たちは、とんでもない計画を立ててエルザを慰めようとする。

『ガールフレンズ・オブ・パリ』シーズン1の感想

去年あたりからよくフランスのドラマを見るようになったのだが、おもしろいものが少なくて、ほとんど最終回に至る前に見るのをやめてしまった。
これはひさしぶりに最終回までおもしろく見たドラマ。全8話、各27分。

ストーリーは、彼氏にフラれて落ち込んでいる主人公の女の子を元気づけようと、親友たちが「トンデモない計画」を実行する、というもの。

ストーリーはなんてことないのだが、その「なんてことない」ところが実はフランスの映像作品はポイントだったりする。

フランス映画を見ていていつも感心するのは、フランスはありふれたストーリーをちょっと目先を変えたり、セリフや演出を凝らしたりすることで、新鮮に再構築するのが本当にうまい。
最近見た映画でヴァネッサ・パラディ主演の『ハートブレイカー』という映画があったが、あれだって、今まで同じようなストーリーを何百回も見た気がするし、序盤でオチまで読めるのだが、新鮮な演技と巧みな語り口で、ストーリーの平凡さなどぜんぜん関係なくおもしろかった。

ところがフランスはドラマとなると、この「ありきたりなストーリーを新鮮に再構築する」テクニックが、なぜかうまく発揮されているものがほとんどないのだ。
ありきたりなストーリーは本当にありきたりな印象のまま。

去年から今年にかけて見たドラマがほとんどつまらなかった理由もまさにそこで、とにかくフランスのドラマは何を見ても古臭い。

そこにきて、この『ガールフレンズ・オブ・パリ』である
ストーリーがありきたりなのはいつものこととして(もちろん第1話を見れば、だいたい結末まで予想がつく)、そのありきたりなストーリーは新鮮に再構築されていたかというと、少しされていた。

やはり映画と比べるとテクニックは弱いが、それでも最後までおもしろく見れてしまったのだから成功していると言っていいと思う。

ガールフレンズ・オブ・パリ

出典:imdb

気に入ったのはキャスティング。
とくに主人公の女優さん、普通にメイクして着飾ったらえらい美人だと思うのだが、「彼氏にフラれて落ち込んでいる月並みな女の子」というキャラをなんとも自然に演じているのだ。

この女優さんが最後に近づくにつれてどんどんキレイになっていって、最終回はもうモデルみたいな超美人になってしまうから不思議だ(とくに第7話を境にいきなり美人になる)。
メイクやファッションはそれほど変わっていないから、きっと最初の方だけ意識的に「月並みな女の子」を演じていたということかもしれない。
最終回を見てから改めて第1話の映像を見返してみると、その見事な月並みっぷりに驚く。
女優の仕事ってのはこういうことを言うのだな。

演技もよくて、とくに親友たちの「トンデモない計画」がバレてしまい、ショックを受けるシーンの演技は完璧だった。

ガールフレンズ・オブ・パリ

出典:imdb

『ガールフレンズ・オブ・パリ』なんてつまらない邦題がつけられているけれども、原題は『Plan cœur』といって、「Plan」は「プラン」つまり「計画」、「cœur」はフランス語で「ハート」という意味。
つまり原題は「ハート計画」というタイトルといったところ。
(なんだか安っぽい結婚相談所のキャッチコピーみたいな)

また同時に、この『Plan cœur』は同じ発音の「planqueur(隠す人)」とか、なにか他の言葉にかけてるんじゃないかと思われる。
よくわからないけれど。

ちなみに日本では正しく訳されていなかったが、それぞれのエピソードごとのタイトルもこの「Plan 〜」のパターンでつけられている。

第1話 Plan secret(ヒミツ計画)
第2話 Plan boulette(ミートボール計画)
第3話 Plan cul(エッチ計画)
第4話 Plan love(ラブラブ計画)
第5話 Plan teuf(パーティー計画)
第6話 Plan pourri(腐った計画)
第7話 Plan solo(ひとりぼっち計画)
第8話 Plan de sortie(脱出計画)

この「plan(計画)」は、あるいは「作戦」と訳した方がしっくりくるかもね。
(「ハート作戦」「ミートボール作戦」「パーティー作戦」……)

テーマ曲もポップで楽しいし、全体的に肩の力を落としてサクッと見れるドラマだった。

最後に、これは言っとかないといけないんだけど、このドラマの欠点は、最終回があまりおもしろくないこと。
“結末”の描き方もイマイチなんだけど、それ以上に“オチ”が本当につまらなくて力が抜ける。
(“結末”と“オチ”どう違うんだ?と疑問かと思いますが、見ればわかります)

まあ、最終回はちょっと残念だったけど、それまで楽しませてくれたんだから、ま、いっか、ということで、シーズン2の制作が発表されたみたいだし、本当の素敵なラストはこれからだと思ってひとまず前向きに評価したいドラマであった。

評価

シーズン2が楽しみですね。
★★★★★

Good Movie 認定

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