ゲオルグ・フォン・トラップ大佐の頑固なセリフで英語の勉強【サウンド・オブ・ミュージック】

シェアする

『サウンド・オブ・ミュージック』のメインキャラクターで私が唯一、よく理解できない人物というのが、ゲオルグ・フォン・トラップ大佐なんですね。

子供たちを厳しく育てている様は、私が子供の頃によくいたしつけに厳しい頑固おやじを思わせるんですが、後の会話でわかるのは、ゲオルクは子供たちをほったらかして1ヶ月もウィーンで新しい恋人とすごしてパーティー三昧の日々を過ごしたりしているんですね。
「こんな毎日はくだらない」と口走りながらも、愛妻を失った喪失感からまだ立ち直りきっていないからのような裏打ちで。

しつけに厳しい頑固な父親像を見せられた後では、これはずいぶん軟派な印象があるんですが、まあ仕事もしてるんでしょうけれども。
甘えてるとかそういう話ではなく、ちょっとしたヨーロッパと日本の感覚のズレを感じます。

さてそんないっけん硬派に見えて、わりと軟派なところもなきにしもあらずなゲオルク大佐に、マリアが初対面するシーン。
今日はここから英語の勉強になりそうな言葉をひろってみます。




目次

「俗世間の」を表す worldly という表現

まずゲオルグに、マリアは「服がボロい。着替えろ」と初対面でいきなり言われ、こう言います。

But I don’t have another. When we enter the abbey, our worldly clothes go to the poor.
(でも服はこれだけなんです。修道院に入ったとき、世俗の衣服はみんな貧しい人たちに寄贈してしまいましたので)

ここで英語力の乏しい私が引っかかったのが「worldly」という言葉。
「world(世界)」に「-ly(〜的な、〜性の、〜らしい)」がついているので、「世界的な」という意味かと早とちりして意味がとれずに悩んでしまいましたが、辞書をひいてみたら「世俗の」とか「俗世間の」という意味なんですね。

つまりここでの「world」は「世の中」の意味が語源ということなんですね。

映画『ファントム・オブ・パラダイス』より
He sold his soul to the devil for worldly power.
(彼は世俗の権力を得るために、悪魔に魂を売ったんだ)

映画『バリー・リンドン』より
My son has charged me with managing the affairs at Castle Hackton until he recovers from his grief and resumes his interest in worldly matters.
(息子の悲しみが癒え、俗事への関心を取り戻すまで、ハックトン城での業務はすべて私に一任されています)

「離れない」場合の away の解釈について

この後もゲオルクの厳しい言葉が続きますが、このあたりの語彙はなかなか勉強になります。
映画を見ていて、頭がカタい人や、理屈っぽい人、真面目すぎる人のセリフは見慣れない単語がよく出てくるので、勉強になることが多いですね。ちょっとした法則です。

I will not permit them to dream away their summer holidays.
(夏休みにうつつを抜かすなど以ての外だ)

dream away」は「うつつを抜かす」という意味。

「away」は「離れる」の他に、この用例のように「〜しっぱなし」というニュアンスで動詞にくっついて使われます。

dream away(夢見っぱなし) = うつつを抜かす
drink away(飲みっぱなし) = 飲み明かす
carry away(持っていきっぱなし) = 夢中にさせる
rot away(腐りっぱなし) = 朽ち果てる
laugh away(笑いっぱなし) = 笑い飛ばす
sleep away(寝っぱなし) = 寝過ごす

away を象徴するカエルの人形

覚えておきたい熟語 see to it

その少し後のセリフから。

You will see to it that they conduct themselves at all time with the utmost orderliness and decorum.
(子供たちが常に、しっかり規律と礼儀作法を守った行動をするよう、きみに監督してもらいたい)

see to it で「責任を持って面倒をみる」「注意して監督する」みたいな意味の熟語です。

see to it that 〜 で「〜するようにとりはからう」「〜するように手配する」という構文になります。

知ってる単語ばかりが並んでいると熟語であることを見逃しがちですので、注意したいところです。

他の映画でもたくさん用例がありましたので、3つほど挙げておきます。

映画『チェンジリング』より
See to it she is sedated properly.
(彼女を鎮静させてくれ

(下の動画の0:12からのセリフ)

映画『レナードの朝』より
Miss Costello, see to it that Dr Sayer’s waiting patients are rescheduled for tomorrow.
(コステッロ君、セイヤー医師を待ってる患者さんたちね、明日に変更してもらってきて

(下の動画の1:06からのセリフ)

映画『アマデウス』より
Through my influence, l saw to it Don Giovanni was played
only five times in Vienna. But, in secret, l went to every one of those five.
(私は権力を使って、ドン・ジョバンニのウィーン公演をたった5日間で打ち切らせるよう手を回した。しかしここだけの話だが、私はその5回の公演、ぜんぶ見に行ったよ)

(下の動画の2:50からのセリフ)

ご覧のように結構よく使われる表現ですので、ご存知なかった方はこの機会に覚えておくとよいですね。