「柄にもなく」を英語で?【サウンド・オブ・ミュージック】

ウィーンから帰ってきたばかりのゲオルグとマックスおじさんの会話で、たった1行だけど非常に勉強になるセリフがあります。

Max, do step out of character for a moment and try and be charming.
(マックス。少しの間だけいつもの自分を抑えて、いい子にしてるんだぞ)

このセリフ、家に帰ってきたはいいけれど、子供たちがどこにも見当たらないので、ゲオルグはマックスおじさんとエルザを残して子供たちを探しに行く。
その去り際に、マックスおじさんに「大人しくレディーのお相手をしててくれ」と言うセリフですね。

美女と野獣




柄にもなく out of character

ここの out of character という表現、文字どおりに解釈すると「いつもの性格から外れて」ということで、「柄にもなく」とか「いつものその人らしくない」という意味でよく使われます。

このシーンでは、「いつもの子供っぽい性格をおさえて」感じよくレディーのお相手をしてるんだぞ、という意味で言ってるんですね。

ヒッチコックの『汚名』という映画で、この out of character という言葉を使った深いシーンがありました。
イングリット・バーグマン演じるアリシアという女性が、スパイとして敵の要人と結婚させられるんですね。そのスパイの役回りを命じた上司が、他ならぬアリシアが愛する男デヴリン(ケーリー・グラント)なんです。
競馬場でアリシアがスパイ活動の報告にデブリンと会うシーンで、デヴリンに対する恋心を抑えられず、アリシアが涙を流す。
そこでデヴリンが言うセリフがこちら。

映画『汚名』より
Dry your eyes, baby. It’s out of character.
(涙を拭け。らしくないぞ)

(49分39秒からのセリフ)

スパイ活動というのは、言うまでもなくキャラクターを演じるわけですから、このシーンで使われる out of character というのは、「スパイ活動の偽装がバレるぞ」という意味と、「涙を流すなんて、勝気な性格のアリシアらしくないぞ」という2つの意味が込められてるんですね。

この『汚名』、ヒッチコックの作品群のなかでもとびきりの素晴らしい映画ですので、まだ未見の方はぜひご覧ください。
日本語字幕はありませんが、パブリックドメインですので、YouTubeでも無料で観れます!

あとout of character という言葉の用例で思い出すのは、以前YouTubeを見ていて、映画『劇場版魔法少女まどかマギカ [新編] 叛逆の物語』という日本のアニメ映画のラストを見たアメリカ人の男性が、暁美ほむらという登場人物について「out of character!」と叫んでいた動画がありました。
映画を見たことある方はわかるかと思いますが、確かにあれは out of character の好例だと思います。

try and 〜 は try to 〜 と完全に同じなのか

その次に出てくる try and 〜 という表現ですが、これは会話でしか使われないくだけた表現で、基本的には try to 〜 と言い換え可能です。

例えば上記の例は以下のように言い換えることができます。

try and be charming = try to be charming

意味もほとんど同じだと言っていいと思いますが、インターネットで調べたところによると try and 〜 の方が結果についての示唆が含まれている、という意見がありました。

例えば上記の例でいうと

try and be charming = 感じよくすることに挑戦し、結果的にその通りにしてくれ

といった風に。

「結果についての示唆」というのは、上記のような成功ばかりではなく、下の例のように皮肉を込めて失敗を示唆している場合もありますね。

映画『夕陽のガンマン』より
When the chimes end, pick up your gun. Try and shoot me, Colonel.
(音楽がやんだら、銃を拾え。俺を撃ってみな、大佐)

(0:36からのセリフ)

おわりに

今日はたった1行でしたが、じっくり吟味すると勉強になるものですね。

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