トム・ペティの『Breakdown』の歌詞(和訳あり)で英語の勉強

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Tom Petty & the Heartbreakers – breakdown

本日も前回に続き、私の最愛のロックミュージシャン、トム・ペティ(敬称略)を偲んで、トムの歌をとりあげます。

どの曲にしようか迷いましたが、やはりトムの歌は今後もちょくちょくこのブログでとりあげていこうと思いますので、ここはひとまず、トムの出発点であるデビューアルバムから、最初にシングルとしてリリースされたデビュー曲「Breakdown」を選んでみました。

前回とりあげた『Learning to Fly』とはまた違った雰囲気ですが、これも私の大好きな曲です。




目次

breakdown とは?

まずはじめに、そもそも breakdown とはどういう意味でしょう?

辞書を調べると、だいたいこんな意味がのっています。

breakdown = 故障、崩壊、挫折、衰弱、断絶、分析

break は「壊す」という意味で、down は「下に」を意味する副詞です。

つまり何かをバラバラに壊したり、分解したりして、その部品を下に置いて並べる、または機能がダメになって、下に止まったまま動かなくなる、というイメージの言葉ですね。

この曲の歌詞ではこの breakdown がどういう意味で使われているのか、
まずは英語の歌詞と私の和訳を読んでみてください。

breakdown 和訳

Breakdown
ブレイクダウン

It’s alright if you love me
It’s alright if you don’t
I’m not afraid of you running away
Honey, I get the feeling you won’t

お前が俺を愛してようと
そうじゃなかろうと、かまわないさ
出ていきたけりゃ出ていきな
どうせ出ていきゃしないんだろ

There is no sense in pretending
Your eyes give you away
Something inside you is feeling like I do
We said all there is to say

意地をはっても無駄さ
お前の瞳はバレバレなんだよ
俺と同じ気持ちなんだよな
お互い、もう言いたいことはぜんぶ言ったろ

Baby Breakdown
Go ahead and give it to me
Breakdown honey take me through the night
Breakdown now I’m standing here can’t you see
Breakdown, it’s alright
It’s alright
It’s alright

ぶっこわせよ
さあ、ぶちまけるんだ
ぶっこわせ、夜通しつきあうぜ
ぶっこわせ、俺はここにいるじゃないか
ぶっこわせ、いいんだよ
いいんだよ
いいんだ

歌詞の解説

トムの歌詞らしく、とてもシンプルな内容ですね。

男が女に語りかけているところです。
女がなにかしら頑なな態度をとっていて、男がそれを崩そうとしている。

breakdown というのは、男が女に対して、自分の心に立てかけた壁をぶっこわせよ、と言っているわけですね。
または、女が男とのあいだに立てかけた壁をぶっこわせ、ともとれます。

壁がガラガラと崩れて(break)、その破片が下に落ちている(down)イメージですね。

私はこれ、最初に歌詞を読んだとき、なにか言い合いをしている男女の歌だと思いました。
しかしネットを検索してみると、男が女と初めてベッドインをしようと迫っている歌、という解釈をしている人も多いですね。

確かにそう考えても辻褄が合います。

I’m not afraid of you running away(出ていきたけりゃ出ていきな)とか、We said all there is to say(俺たち言いたいことはもうぜんぶ言ったろ)なんてセリフがあるので、私は何か気持ちのすれ違いのようなことが起こって、言い合いをしている男女の歌だと思ったのですが。

男が女を口説いている歌なのだとしたら、We said all there is to say は意味合いがかなり変わってきますね。
「もうおしゃべりはたくさんだ」みたいなニュアンスですね。

もし言い合いをしているのだとしたら、男の目からみて、女の方が弱い心のうちを見せまいと、意地をはって、虚勢をはっているんですね。

どちらにしろ、「自分に嘘をつかずに、もっと本来の自分を出して、俺と向き合えよ」と男が女に語りかけている歌、という感じでしょうか。

まあ、そう言っている男のほうも強がっているし、カマをかけている面もあるのかもしれません。

Something inside you is feeling like I do(お前も俺と同じ気持ちなんだよな)というセリフは、「お前だってもうこんな不毛な言い合いはやめたいと心の底では思ってるんだろ」と同調を求めているひと言ですね。

あるいは、もし男が女を口説いているのだとしたら、「お前だって本当は俺のこと、好きなんだろ」という解釈になりそうです。

シンプルな曲だけに、いろいろ想像が広がる歌詞ですね。

注目のボキャブラリー

It’s alright = いいんだよ、平気だよ、大丈夫だよ、問題ないよ

run away = 逃げる、出ていく

get the feeling (that) 〜 = 〜な気がする
歌詞では I get the feeling you won’t run away の run away が省略されている形なので、「きみは出ていかない気がする」つまり「どうせ出ていきゃしないんだろ」という意味です。

There is no sense in 〜 = 〜する意味がない(〜しても無駄だ)

pretend = ふりをする、偽る
この歌詞では「意地をはる」と訳しました。

give away = (隠している感情などを)表に出す、(秘密などを)漏らす、ばらす

go ahead = さあどうぞ

give it to me = よこせ、くれ

トム・ペティのファーストアルバムのジャケット

あとがきにかえて – トムのこと

私はここ30年近く、人から「好きなロックミュージシャンは?」と聞かれるたびに、「死んだ人ならジム・モリソン、生きてる人ならトム・ペティ」と冗談めかして答えてきました。

とうとうトムもお亡くなりになって、この答え方もできなくなるんですねえ。
寂しいことです。

そういえば、ここでの私の名前もトムでしたね。
よく考えたら同じ名前だったんですねえ、今はじめて気がつきました。
(ちなみに「トム」は私の本名の一部からとったもので、アメリカに住んでいたときにも使っていた名前です)

なんだか遠い人になってしまった今更ながら、親近感がわいてきました。

改めてトムのご冥福をお祈りいたします。