コールドプレイの『Viva La Vida』の歌詞(和訳)で英語の勉強

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本日はイギリスのロックバンド、コールドプレイ(Coldplay)の曲『美しき生命(Viva la Vida)』の歌詞をとりあげます。

Viva La Vida
素晴らしき人生

I used to rule the world
Seas would rise when I gave the word
Now in the morning I sleep alone
Sweep the streets I used to own

かつて僕はこの世を治めていた
海の満ち引きさえ思いのままだった
今は朝ひとりで目を覚まし
僕が治めていた街の通りを掃除している

I used to roll the dice
Feel the fear in my enemy’s eyes
Listen as the crowd would sing
“Now the old king is dead! Long live the king!”

かつて僕は世を仕切っていた
敵は畏怖の念を抱いて僕を見た
民衆の歌が聴こえる
「もう老いぼれの王は死んだ! 新しい王様バンザイ!」

One minute I held the key
Next the walls were closed on me

And I discovered that my castles stand
Upon pillars of salt and pillars of sand

鍵を握っていたかと思ったら
塀の外に締め出された
そして振り返って見たら僕の城は
塩の柱や砂の柱で築かれていた

I hear Jerusalem bells a ringing
Roman Cavalry choirs are singing
Be my mirror, my sword and shield
My missionaries in a foreign field

エルサレムのベルが鳴っている
ローマ騎兵の聖歌隊が歌っている
僕の鏡になれ、剣になれ、盾になれ
異国の地で僕の伝道者になれ

For some reason I can’t explain
Once you go there was never
Never an honest word
And that was when I ruled the world

うまく説明できないけど
過ぎ去ってみると
真実の言葉なんて何ひとつ無かったよ
そう、それが僕の治めていた時代だったんだ

It was the wicked and wild wind
Blew down the doors to let me in
Shattered windows and the sound of drums
People couldn’t believe what I’d become

扉を吹き倒し、僕を中へと誘い入れたのは
邪悪で野蛮な風
壊れた窓と太鼓の音
人々は僕が何者になるか、知るよしもない

Revolutionaries wait
For my head on a silver plate
Just a puppet on a lonely string
Oh who would ever want to be king?

革命家たちは
僕の首を銀の皿の上に望んでいる
寂しい糸に操られたしがない操り人形さ
ああ、王様になんてなるもんじゃない

I hear Jerusalem bells a ringing
Roman Cavalry choirs are singing
Be my mirror, my sword and shield
My missionaries in a foreign field

エルサレムのベルが鳴っている
ローマ騎兵の聖歌隊が歌っている
僕の鏡になれ、剣になれ、盾になれ
異国の地で僕の伝道者になれ

For some reason I can’t explain
I know Saint Peter won’t call my name
Never an honest word
But that was when I ruled the world

うまく説明できないけど
もう聖ペトロが僕に天命を与えることはないだろう
真実の言葉なんて何ひとつ無かったな
そう、それが僕の治めていた時代だったんだ




目次

Viva La Vida

まずはタイトルについて。

Viva La Vida はスペイン語で「人生万歳」という意味だそうです。
私はなんとなく、歌詞の内容から『素晴らしき人生』と訳してみました。

オフィシャルな日本語タイトルは『美しき生命』だそうですね。
上の2つと比べて一番もとの意味から遠いのはこのオフィシャルじゃないかという気がします。

この曲はイエス・キリストのことを歌っているとか、フランス革命のことだとか、様々な説があるようで。

歌詞を読むと、いろんな要素を詰め込んでいる感じですね。
ただ、やはり聖書からの引用が格段に多いです。

ちなみに wikipedia によると、このタイトルはフリーダ・カーロという画家の描いた『Viva la Vida』というスイカの絵からとったようですね。

roll the dice

I used to roll the dice
Feel the fear in my enemy’s eyes

かつて僕は世を仕切っていた
敵は畏怖の念を抱いて僕を見た

roll the dice というのは文字通りには「サイコロをふる」です。

辞書には「一か八かやってみる」という意味の熟語だと載っていますが、この歌詞の場合はちょっと違う気もしますね。

ここの roll the dice は「博打の親である」ということで、つまり「その場を仕切っている」ということ。
この歌はかつて王様だった男のモノローグですから、その文脈から「権力者としてこの世を治めていた」という意味になるんじゃないかと思います。
他の熟語 call the shots(采配をふるう)なんかに近い感じですね。

もし辞書通りに解するなら「怖いもの知らずだった」あたりの解釈が妥当かと思います。

2行目の「敵は畏怖の念を抱いて僕を見た」というのは、王様に敵対する勢力だとか、敵国だとか、そういった人たちを博打の相手に見立てている、と捉えることもできますね。

Now the old king is dead! Long live the king

Now the old king is dead! Long live the king
もう老いぼれの王は死んだ! 新しい王様バンザイ!

ここはちょっとわかりにくいですが、最初に出てくる the old king が、先代の王様のことで、後の the king が、新しく王様になった頃の語り手のことですね。

つまり政権交代を喜んでいる民衆の声を謳っている1行ですね。
これはヨーロッパで政権交代が起きたときの民衆の決まり文句。

ちなみに Long live というのは「〜万歳!」という意味で、タイトルのスペイン語 viva と同じ意味の言葉ですね。

one minute 〜 next …

本日の英語の勉強ポイントはこの1行。

One minute I held the key
Next the walls were closed on me

鍵を握っていたかと思ったら
塀の外に締め出された

この one minute 〜 next … は、突然状況が変わる様子を表現する熟語です。

one minute 〜 next … = 少し前まで 〜 かと思ったら、もう … になった

この熟語で私がすぐに思い出すのが、タランティーノの映画『パルプ・フィクション』冒頭のカップルが強盗の話しをするシーン。

映画『パルプ・フィクション』より
Customers sitting there with food in their mouths, they don’t know what’s going on. One minute, they’re having a Denver omelet, the next, someone is sticking a gun in their face.
(客はメシを頬張るのに夢中で、何が起こってるのかわからない。それまでデンバーオムレツを食っていたかと思ったら、何者かに拳銃を突きつけられてる、ってなわけさ)

Upon pillars of salt and pillars of sand

この歌は聖書からの引用がとても多く、その大半が複数の意味に解釈できるので、ひとつひとつ取り上げて解説していたら膨大な文章量になりそうです。

このブログは英語のボキャブラリーの解説をメインとしていますので、聖書の解釈はそのさわりだけ、以下の2行だけ解説してみます。

And I discovered that my castles stand
Upon pillars of salt and pillars of sand

そして振り返って見たら僕の城は
塩の柱や砂の柱で築かれていた

ここの pillars of salt(塩の柱)というのは、聖書の『ソドムとゴモラ』の部分からの引用ですね。

ソドムとゴモラ滅亡の際、ロトとその家族は神によって救われますが、逃げる途中で神に「決して振り返るな」と言われていたのに、ロトの妻が振り返ってしまったため、塩の柱にされてしまった、というエピソードです。

その次に出てくる pillars of sand(砂の柱)というのは、「賢者は岩の上に家を建て、愚者は砂の上に家を建てる」というキリストの言葉から取られた、と考えられるそうです。

まとめると、語り手は王様になっていい気になっていたけど、国が滅んでしまい、振り返ってみたら、自分の城は塩や砂で築かれていた、ということを言っている2行だと解釈できます。

振り返ると自分の城は「塩の柱」と「砂の柱」で築かれていた、そしてそれに気がつかなかった自分は「愚か者」だった、という点に聖書とモチーフが重なりますね。

ちなみに I discovered that 〜 を「振り返ってみたら」と訳すことで、ソドムとゴモラのモチーフに引っ掛けてみました。

その他、この歌詞の解釈は以下のURLに詳しいので、お時間のある方はぜひ読んでみてください。
私も本日の記事を書く際に、参考にさせていただきました。

GENIUS / Coldplay – Viva la Vida Lyrics

あとがき

本日の記事でこの曲を題材に選んだのは、実は先日、妻にこの曲の歌詞を和訳してくれと頼まれたんですね。

うちの妻はあまり私のことを褒めないんですけど、この歌詞は「やっぱりアナタの和訳が一番わかりやすい」と言ってくれまして、ちょっといい気になって、このブログでも取り上げてみました。

ただ「一人称が“僕”なのが違和感ある」とも言われまして、ここはまあ、私のこだわりというか、この曲を聴いて、ここはあえて「僕」でいくのがふさわしい、と感じてしまったからで、私の解釈ということでご了承ください。

ドラクロア「民衆を導く自由の女神」