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on behalf of と in behalf of の違い【サウンド・オブ・ミュージック】

ミュージカル映画『サウンド・オブ・ミュージック(The Sound of Music)』から英語の勉強になりそうな言葉をひろってみます。

もともとミュージカルはクラシックからロックミュージカルまで広く好きなのですが、なかでもこの映画の素晴らしさはとびきりです。
音楽もセリフもいいのですが、映像が美しくてダイナミック。

圧巻なのはこの冒頭。

美しいウンタースベルク山脈の景色が映し出され、遠景からカメラがだんだんマリアに近づいていって、くるっとターン。そこからすぐにカットが変わって歌がはじまる。
胸のすくようなオープニングとは、こういうのを言うんですね。

後のシーンでマリアが遅刻した言い訳としてこんなことを言います。

The hills were beckoning. (中略)The sky was so blue today, and everything was so green and fragrant, I had to be a part of it. The Untersberg kept leading me higher and higher like it wanted me to go through the clouds.

丘がわたしに手招きをするんです。[中略] 今日は空がとっても青くて、緑はあおあおとむせかえるほど、もう飛びこんでいかずにはいられなくて。ウンタースベルク山脈は、雲に届けと言わんばかりに、もっと高く高くへとわたしを誘ってくるし。

マリアのこういったおおらかすぎる性格に頭を悩ましている修道女たちですが、あの美しい冒頭を最初に見ているわれわれには、マリアの気持ちがよくわかりますね。

ちなみに beckoning は「手招きをする」という意味ですが、日本人の頭でイメージする「手招き」を思い浮かべてはいけませんよね(私のように)。
「どういうこと?」と思った方だけ、今すぐ「beckoning」または「beckon」でGoogle画像検索をしてビジュアルを確認してみましょう。




on behalf of と in behalf of の違いについて

さて、この冒頭のシーンの直後、修道院では「マリアが見当たらない」「マリアにはいつもいつも困ったもんだ」と尼僧たちが歌を歌いながら口々に言い合います。

「Maria(マリア)」という曲のところ。

この歌の歌詞の中で、唯一マリアに好意的なシスター・マルガレッタがマリアを弁護してこう言います。
(上の動画の0:38からの部分)

I’d like to say a word in her behalf.
Maria makes me laugh.

マリアのためにひとこと言わせてください。
マリアはわたしを笑わせてくれます。

この「in her behalf」という言葉、通常は「in behalf of〜」の構文で見ることの方が多いのですが、この behalf という単語には以下のように前置詞が「in」の場合と「on」の場合と2つあります。

in behalf of
on behalf of

この2つはほとんど意味が同じですが、比較的「in behalf of」は「〜のために」で、「on behalf of」は「〜に代わって(代弁して)」といった意味で使われることが多いようです。
頻度では「on behalf of」で使われることの方が圧倒的に多いですね。

他の映画から用例を探してみたところ、

映画『キル・ビル』より
Be that as it may, I know I do not deserve mercy or forgiveness. However, I beseech you for both on behalf of my daughter!
(わたしには情けも容赦もかけてもらう言われはない、それはわかってる。でも、わたしの娘のために、お願いよ!)

映画『バートン・フィンク』より
On behalf of Capitol Pictures, the administration, and all of the stockholders, please accept this as a symbol of our apology and respect.
(キャピトル映画の経営陣、そしてすべての株主を代表して、謝罪と尊敬のしるしに、どうかこれを受けとってくれ給え)

映画『アマデウス』より
l’ve come on behalf of my husband.
(夫の代理で参りましたの)

やっぱり「on behalf of」の用例の方が圧倒的に多いですね。
意味も上記の『サウンド・オブ・ミュージック』の用例に比べると、「〜に代わって」の意味合いが強いのがわかります。

behalf なんてよく知った単語のつもりでいましたが、さりげない前置詞に注目してみると、意外と新たな発見があるものですね。

この『マリア(Maria)』の歌詞に関しては以下の記事で全和訳を掲載し、更に他のボキャブラリーの解説もしています。
ぜひお読みください。

『Maria』の歌詞(和訳)で英語の勉強

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