Queen(クイーン)の『Bohemian Rhapsody(ボヘミアン・ラプソディ)』の歌詞(和訳)で英語の勉強

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映画『ボヘミアン・ラプソディ』も公開され、再び注目を集めているこの名曲。
本日はこの、クイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』の歌詞を取り上げて、英語の勉強をしてみます。

まずは、この曲の歌詞と私の和訳を掲載します。

この曲は5回、曲調が変わります。
曲調の変わり目は「***」で区切ってあります。

Bohemian Rhapsody
ボヘミアン・ラプソディ


Is this the real life?
Is this just fantasy?
Caught in a landslide,
No escape from reality

これは現実?
それとも幻?
崩れた崖の下敷きになって
真実から逃れられない

Open your eyes,
Look up to the skies and see

目をひらいて
空を見上げてごらん

I’m just a poor boy
I need no sympathy,
Because I’m easy come, easy go
Little high, little low
Any way the wind blows
Doesn’t really matter to me, to me

僕はしがないみじめな男の子さ
同情なんていらない
だって僕は気楽なその日暮らし
山なし谷なし
風の吹くまま
僕にはどうってこともない、僕には

 * * *

Mama, just killed a man
Put a gun against his head
Pulled my trigger, now he’s dead
Mama, life had just begun
But now I’ve gone and thrown it all away


ママ、人を殺したんだ
やつの頭に銃を突きつけて
引き金を引いたら、やつは死んだ
ママ、人生ははじまったばかりだったのに
すべて放り出しちゃったよ

Mama, ooh
Didn’t mean to make you cry
If I’m not back again this time tomorrow
Carry on, carry on as if nothing really matters

ああ、ママ
泣かせるつもりはなかったんだ
明日のこの時間までに戻らなかったら
気にしないで、先に行って

Too late, my time has come
Sends shivers down my spine
Body’s aching all the time
Goodbye, everybody, I’ve got to go
Gotta leave you all behind and face the truth

もう遅いんだ、いよいよだよ
背筋が震えてきた
身体がずっと痛いんだ
さようなら、みんな、もう行かなくちゃ
みんなと別れて、真実と向き合うんだ

Mama, ooh (any way the wind blows)
I don’t wanna die,
I sometimes wish I’d never been born at all

ああ、ママ(風の向くまま)
死にたくない
生まれてこなきゃよかったって、たまに思う

 * * *

I see a little silhouetto of a man,
Scaramouche! Scaramouche!
Will you do the Fandango?
Thunderbolt and lightning
Very, very frightening me
(Galileo!) Galileo!
(Galileo!) Galileo!
Galileo! Figaro!
Magnifico-o-o-o-o

男の影が見える
スカラムーシュ! スカラムーシュ!
ファンダンゴを踊るのかい?
落雷と稲光
とても、とても怖い
(ガリレオ!)ガリレオ!
(ガリレオ!)ガリレオ!
ガリレオ! フィガロ!
スバラシイ!

I’m just a poor boy
Nobody loves me

僕はしがないみじめな男の子
誰も僕を愛してなんかいない

He’s just a poor boy from a poor family
Spare him his life from this monstrosity

彼はしがないみじめな家庭のみじめな男の子
こんな酷いことから彼の人生を救ってあげて

Easy come, easy go
Will you let me go?
Bismillah! No, we will not let you go (let him go!)
Bismillah! We will not let you go (let him go!)
Bismillah! We will not let you go (let him go!)
Will not let you go (let him go!)
Never, never let you go
Never let me go, oh!
No, no, no, no, no, no, no!
Oh, mama mia, mama mia (mama mia, let me go)
Beelzebub has a devil put aside for me, for me, for me

気楽なその日暮らし
もう行っていい?
神の名のもとに! ダメ、行かせない(行かせてあげて!)
神の名のもとに! 行かせない(行かせてあげて!)
神の名のもとに! 行かせない(行かせてあげて!)
行かせない(行かせてあげて!)
ぜったい、ぜったい、行かせない
ぜったい行かせてくれないんだ、ああ!
ダメダメダメダメダメダメダメ!
ああ、なんてことだ、なんてことだ(なんてことだ、行かせてよ)
ベルゼブルが僕に、僕に、この僕に、悪魔を待たせているんだ

 * * *

So you think you can stone me and spit in my eye?
So you think you can love me and leave me to die?
Oh, baby, can’t do this to me, baby
Just gotta get out, just gotta get right outta here

つまり、あなたは平気で僕に石を投げつけ、目に唾を吐けるって言うんだね?
つまり、あなたは僕を愛していながら、僕を見殺しにできるんだね?
ああ、あなた、それじゃあんまりだよ、ねえ
逃げないと、とにかくここから逃げないと

 * * *

Nothing really matters
Anyone can see
Nothing really matters
Nothing really matters to me

どうってことはない
そんなこと誰だってわかる
どうってことはない
僕にはどうってことはない

Any way the wind blows

風の向くまま

それではこの曲の英語を解説してみます。




目次

タイトル『Bohemian Rhapsody(ボヘミアン・ラプソディ)』について

まずはタイトルについて。

「ラプソティ」とは、日本語にすると「狂詩曲」と訳され、wikipediaによると以下のような定義が載っています。

狂詩曲 = 自由奔放な形式で民族的または叙事的な内容を表現した楽曲。異なる曲調をメドレーのようにつなげたり、既成のメロディを引用したりすることが多い。

wikipediaより

「ラプソディ」についてはこれ以上の説明はいりませんね。

問題は「ボヘミアン」の部分。

「ボヘミアン」とは、文字通りには「ボヘミア人」という意味ですが、普通の会話で Bohemian て言葉が出てくると、まず「ボヘミア人」という意味で使われることはないですよね。
だいたい「旅人」とか「放浪者」の代名詞みたいな使われ方で出てきます。
(日本の歌謡曲にも「ボヘミアン」て歌があって、歌詞で「あなた、旅人」なんて言ってますよね)

なんで「ボヘミア人」が「旅人」「放浪者」の代名詞になるのか?

もともとボヘミアとは、現在のチェコの西部・中部を指す歴史的知名だそうです。
で、「ボヘミアン」とは、一般的には、中世の時代に北インドの方から東ヨーロッパへと流れてきたロマ民族(昔はジプシーと呼ばれてましたね)のことを指します。

中世の頃から西洋人はロマ民族のことを、土着した東ヨーロッパの国々の名前で呼ぶようになったんですね。
例えばクラシック音楽で「ハンガリー狂詩曲(リスト作曲)」なんてのがありますが、あれも実際にはハンガリー風の音楽じゃなくて、ロマ風の音楽なんですけど、それと同じことです。

とにかく「ロマ民族 = 放浪者」というわけで、いつしかボヘミアンという言葉が「放浪者」「旅人」の代名詞になったわけです。
二重に間接的な語源なんですね。

また、この曲を作詞したフレディ・マーキュリーはインド出身の両親のもとに生まれ、幼少時代にアフリカやインドを転々とした生い立ちがあります。

そういうわけで、この曲の「ボヘミアン」とは、「旅人」とか「放浪者」の意味であるのと同時に、作詞をしたフレディ・マーキュリーのルーツ的な意味合いも入っていると推測できます。

Caught in a landslide

詩的な意味で、ここの1行はどう訳すか少しだけ迷いました。

Caught in a landslide
崩れた崖の下敷きになって

landslide = 地すべり、山くずれ、土砂崩れ、崖崩れ

land(土地) が slide(滑る)なので、文字通りには「地すべり」「土砂崩れ」がもっとも一般的な意味だと思うんですが、これらの単語はニュース以外ではあまり聞きませんよね。
歌詞の文句に使うのは味気ない感じで、私はなんとなく抵抗がありました。

日本語には惨憺たる状況を描写する定番で「ガラガラ音を立てて崩れていく」みたいな物言いがありますから、やはりこういう単語は「崖」を入れて訳すとしっくりきますね。

なので私は「崩れた崖の下敷きになって」と訳してみました。

easy come, easy go

Because I’m easy come, easy go

ここにある easy come easy go はことわざで、

「簡単に手に入るものは、すぐに失ってしまう」

という意味です。

日本のことわざで「悪銭身につかず」が一番近いということで、通常はそう訳されるんですが、この歌詞の場合は「悪銭身につかず」と訳してしまうと、ちょっとヘンですよね。

文脈としては、前の行に

I’m just a poor boy
I need no sympathy,

僕はしがない惨めな男の子
同情なんていらない

とあります。

つまり「僕は貧乏だけど、同情なんていらないよ。だって、僕はあくせく働かず、気楽にやってるだけだから」という文脈に受け取れますよね。

言いたい意味はわかるんですが、どうしてもぴったり当てはまる日本語の慣用句が見つからなかったので、私は「気楽なその日暮らし」と訳してみました。

easy come ≒ あくせく働かない ≒ 気楽な
easy go ≒ いつもお金が無い ≒ その日暮らし

これよりさらに問題なのは次の行。

Little high, little low

Little high, little low

これはことわざではありませんが、前の行の

easy come, easy go

と照らし合わせると、意味はなんとなく受け取れますよね。

文字通りには

「高からず、低からず」

という意味です。

気分的なことを表してるなら、

「気分が高揚することもないけど、ひどく落ち込むこともない」

生き方みたいなことを表現しているなら、あるいは

「高みを目指さないから、それほど大きな失敗をすることもない」

みたいな意味にも取れるかもしれません。

私はここ「山なし谷なし」と訳してみました。

歌詞の意味について

このページは英語の勉強を中心に解説していますが、歌詞の内容についても、受け売りですが、少しだけ触れてみたいと思います。

というわけでこの一節。

Mama, just killed a man
Put a gun against his head
Pulled my trigger, now he’s dead
Mama, life had just begun
But now I’ve gone and thrown it all away

ママ、人を殺したんだ
やつの頭に銃を突きつけて
引き金を引いたら、やつは死んだ
ママ、人生ははじまったばかりだったのに
すべて放り出しちゃったよ

この部分、普通に読むと「人を殺したことで、人生を棒に振ってしまった」という意味に受けとれますよね。

フレディ・マーキュリーの伝記作家レスリー・アンジョーンズによると、この曲の歌詞はフレディ・マーキュリーのゲイとしてのカミングアウトの歌で、この歌い手が殺したのはヘテロ(異性愛者)として生きてきた古い自分自身である、と解釈できるのだそうです。

また、ゲイであることをカミングアウトすることで、皆が自分の音楽をもう受け入れてくれなくなるのではないか、という恐れが込められているという意見もあります。
もしそうだとすると、ここでいう「人生」とはミュージシャンとしてのキャリアのことを指しているのかもしれませんね。

フレディがこの曲を書いた1975年にフレディは初めての男性の恋人を持ったそうで、ここに出てくる「ママ」とは、それまでお付き合いしていた女性の恋人メアリー・オースティンを指しているのかもしれない、と解釈している人もいます。

また、「ママ」は本当の母親だと捉えれば、ゲイになってしまって申し訳ない、という気持ちが込められているのだと解釈できますね。

Bohemian Rhapsody(ボヘミアン・ラプソディ)
出典:imdb

carry on

If I’m not back again this time tomorrow
Carry on, carry on as if nothing really matters

明日のこの時間までに戻らなかったら
気にしないで、先に行って

carry on = 続ける

as if 〜 = あたかも〜のように

タイトルにもあるように、この曲は「ボヘミアン(放浪者)」の歌ですから、語り手が旅をしているボヘミアンな家族だと見立てれば、ここの carry on は「旅を続けて」と訳したいところです。

私は少し抽象的に「先に行って」と訳してみました。

真意はともかく、アート性を鑑みれば、歌詞は「見立て」を意識して訳していきたいものです。

spare

Spare him his life from this monstrosity
こんな酷いことから彼の人生を救ってあげて

ここに spare という単語が動詞として使われていますね。
いつか1記事使ってじっくり解説したい単語です。

日本語で“予備”のことを「スペア」って言いますよね。
英語の spare も名詞としては同じ意味に使えます。

これが動詞になると、「使わないでとっておく」みたいな概念から

spare = 出し惜しむ

という意味もあり、「余らせる」という概念から、

spare = (時間などを)さく、(人を)見逃す、大目に見る、勘弁する、寛大に扱う

みたいな意味にもなります。

この歌詞では後者の「見逃す」の用法ですね。

put aside

ここにもちょっとややこしいボキャブラリーがあります。

Beelzebub has a devil put aside for me
ベルゼブルが僕に悪魔をよこした

put aside とは、文字通りには「脇に置いておく」という意味です。

put aside = 片付ける、とっておく、蓄えておく、無視する、忘れる

文脈によって意味が広く解釈できる熟語ですが、「脇に置いておく」ことで「とっておく」という意味にもなり、「忘れる」という意味にもなるわけですね。

この歌詞の場合は「とっておく」の用法。

直訳すると「ベルゼブルは僕のために悪魔をとっておいている」という意味。

ちなみにベルゼブルというのは、悪霊の君主の名前で、聖書にも出てくるそうです。
「蝿の王」とも呼ばれていますね。

先ほど解説した、この曲はゲイのカミングアウトの歌であるとの情報と照らし合わせれば、意味は理解できますよね。

キリスト教ではゲイは罪とされているので、「僕」はゲイになることによって、地獄に堕ちるのを恐れている。

つまりこの一節は、「ベルゼブルが僕のために地獄で悪魔を待たせているんだ」という意味に解釈できます。

Any way the wind blows

最後にこちらのフレーズを解説したいと思います。

Any way the wind blows
風の向くまま

ここの部分、あちこち検索してみると、最初のところが anyway と any way の2通りの表記が見つかりますね。

フレディ・マーキュリーの手書きの歌詞が残っていないそうなので、これは正確なところは誰にもわからないようです。

日本のサイトでは anyway が多く、海外のサイトは any way が多いといった印象です。

ただ、『any way the wind blows』の方が、昔から何度も英語の慣用句として歌の歌詞やタイトルで使われてきたので、まず any way の方が正解でしょう。

例えばクリント・イーストウッド主演の映画『ピンク・キャデラック』のエンディングにサザン・パシフィックの『Any Way The Wind Blows』という曲が使われていますが、あの曲の邦題は『風にまかせて』と訳されているようです。

これがもし anyway だとすると、

anyway, the wind blows
どちらにしても、風は吹く

と解釈できますね。

私はこの歌の語り手はボヘミアン(旅人)である、という見立てを意識して訳していましたので、やはり any way ということにして、「風の向くまま」もしくは「風まかせ」と解釈するのが一番しっくりきます。

「風の向くまま、気の向くまま、風まかせ」なんてのは旅人の決まり文句ですし、先に出てきたフレーズ「気楽なその日暮らし(easy come, easy go)」とも繋がりますよね。

あとがき

本日はクイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』の歌詞を取り上げて、英語の勉強をしてみました。

この曲をこのブログで取り上げることにしたきっかけは、以前にも同じようなことがありましたが、実は私の妻にこの曲の歌詞を訳してくれ、と頼まれたんです。
せっかく訳したので、ブログにも使ってみた、というわけです。

私は特別クイーンのファンではありませんでしたが、この曲は私が大学のとき(1992年頃)に大流行したので、そのときによく聴いていました。

というのも、この曲の初リリースは1975年ですが、1992年に公開されたマイク・マイヤーズ脚本・主演のコメディ映画『ウェインズ・ワールド』のテーマ曲に使われたときにも一度、大きく話題になったことがあるんですね。

なので、最近でも映画『ボヘミアン・ラプソディ』が公開されたことをきっかけに再び注目を集めておりますが、これが実に、私の世代にとっては2度目の大復活ということになります。

当時、私はアメリカに住んでいましたが、1日中アメリカのMTVで流れたり新たに賞をとったりして、それはかなり盛況でした。
友達ともよくこの曲の話題で盛り上がったことを覚えています。

いい曲は時を超えて人々に影響を与えていくんですね。

それでは最後に、1992年の最初の復活のときにMTVで流れていたプロモを貼ろうと思ったのですが、見つからなかったので、コメディ映画『ウェインズ・ワールド』の本編クリップをどうぞ。

尚、本日のこの記事で、英語以外の、この曲の意味の解説は以下のサイトを参考にさせていただきました。

GENIUS – Bohemian Rhapsody