トム・ペティの『Into the Great Wide Open』の歌詞(和訳あり)で英語の勉強

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トム・ペティの名曲を紹介しながら歌詞で英語の勉強をするシリーズ第3弾。

今回は1991年のアルバム『Into the Great Wide Open』から、同タイトルの曲をピックアップしました。

私はトム・ペティのファンになったのはずいぶん遅くて、実はこのアルバムからなんですが、なかでもこの『Into the Great Wide Open』は私が初めて聴いたトムの曲であります。

遊びにきていた友人のCDプレーヤーからこの曲がかかったとき、その渋い声と歌詞にビビッ、と全身に電撃が走ったのを今でもはっきり覚えています。
トムの音楽に心酔した瞬間でした。

当時の私は今ほど英語のリスニングはできなかったのですが、それでもこの曲の歌詞は最初からスッと頭に入ってきた。
英語のリスニングにもとてもいい一曲だと思いますので、トムをご存知ない方も、ぜひ聴いてみてください。

とてもシンプルで、ドラマがあり、心の奥の気持ちいいところにぐぐっと喰いこんでくる、そんな歌詞です。

それでは歌詞と私の和訳をどうぞ。

Into the Great Wide Open
イントゥ・ザ・グレイト・ワイド・オープン

Eddie waited till he finished high school
He went to Hollywood, got a tattoo
He met a girl out there with a tattoo too
The future was wide open

エディは高校を卒業してすぐに
ハリウッドに出て、タトゥーを入れた
そこでやはりタトゥーを入れた、女と出会った
未来は果てしなく広がっていた

They moved into a place they both could afford
He found a nightclub he could work at the door
She had a guitar and she taught him some chords
The sky was the limit

ふたりは手ごろな場所を見つけて同棲をはじめ
彼はナイトクラブのドアマンとして働きだした
彼女はギターを持っていて、彼に簡単なコードを教えた
可能性は空のように無限だった

Into the great wide open
Under them skies of blue
Out in the great wide open
A rebel without a clue

果てしなく広がる世界へ
青空の下
果てしなく広がる世界から
指標なき反抗

The papers said Ed always played from the heart
He got an agent and a roadie named Bart
They made a record and it went in the charts
The sky was the limit

エドの演奏にはハートがある、と記事は書きたてた
エージェントがついて、バートという名のマネージャーもついた
レコードを出して、ヒットチャートをのぼりはじめた
可能性は空のように無限だった

His leather jacket had chains that would jingle
They both met movie stars, partied and mingled
Their A&R man said “I don’t hear a single”
The future was wide open

彼はチェーンがじゃらつくレザージャケットを着ていた
パーティーで映画スターと知り合い、親しくなった
スカウトに引き合わされたが
「これじゃシングルは出せないね」とつっぱねられた
未来は果てしなく広がっていた

Into the great wide open
Under them skies of blue
Out in the great wide open
A rebel without a clue

果てしなく広がる世界へ
青空の下
果てしなく広がる世界から
指標なき反抗




この曲について

歌詞はエディというひとりのロック青年のストーリーです。

この曲は音だけ聴くのと、MVを見ながら聴くのでずいぶん印象が違いますね。

というのも、MVの映像は歌詞の内容とずいぶん違いますし、最初と最後にトム・ペティの語りが入っています。

私は個人的にMV版よりCD版が好きなので、冒頭にはCDの音源のURLを貼りました。
MVは最後に貼ります。

映像と歌詞の内容が違うのはアメリカのMVの伝統ですが、トム・ペティはとくにその傾向が強い気がします。

具体的には、エディはMVでは大スターになっていますが、歌詞ではちょっとインディーのヒットチャートを賑わして、やっとエージェントに登録してマネージャーがついて、映画スターのパーティーに出席する機会を持って、スカウトと引き合わせるところまではいったけど、けんもほろろににつっぱねられる、というところで終わっています。

この歌詞の最後でスカウト(A&R man)が言うセリフ

I don’t hear a single.

直訳すると

「ただのひとつもシングルを聴かない」

ですが、これはつまり、

「エディの作ったアルバムにはシングルカットできそうな曲がひとつもない」

という意味ですね。

ミュージシャンのアルバムには必ず1曲か2曲はシングルカットできそうな曲がないと、MV作ったりしてプロモーションできないから、金にならないんですね。

この

I don’t hear a single.
(シングルに出来そうな曲はひとつもないね)

は、音楽業界の人が若いアーチストを突っぱねるときの決まり文句という感じかもしれません。

このスカウトマンの非情なセリフのあとに、

The future was wide open.
(未来は果てしなく広がっていた)

の一行があるところに、トム・ペティのセンスが効いていると思います。

「まだまだ未来はこれからだ」ということか、それともシニカルなニュアンスを込めたのか、それは聴くわれわれの受けとりかた次第、というところです。

MVには若き日のジョニー・デップが主演しています。

まだジョン・ウォーターズの『クライ・ベイビー』とティム・バートンの『シザーハンズ』くらいしか代表作がなかった時代の、今みたいにビッグなスターになる前ですね。

あと、マネージャー役に映画『俺たちに明日はない』のフェイ・ダナウェイが出演しています。

英語と和訳の解説

Eddie waited till he finished high school

こちらの一行、直訳は

「エディは高校を卒業をするまで待った」

ですが、これは英語独特の定番の言い回しなので、日本語では

「エディは高校を卒業してすぐに」

と解釈するのがいちばん正確だと思います。

They moved into a place they both could afford

次はこちらの一行。

move into = 入居する、移り住む

文脈からいって、知り合った女の子と「同棲をはじめた」ということを言っている一行ですね。

place they both could afford

は、直訳すると

「彼らの収入でも家賃が払えるくらいの賃貸物件」

ですから、たぶん安アパートか何かでしょう。

afford = (金・時間などに)余裕がある

私はここは「手ごろな場所に」と訳しました。

The sky was the limit

こちらの一行、直訳すると

「空が限界」

ですが、これは慣用句です。
空は無限に広がっているものですから、つまり

「限界がない」

いわゆる

「可能性は無限」

という意味です。

日本語にも「青天井」という言葉がありますよね。

日本語の「青天井」は、主に株などの取引で「相場に上限がない」という意味で使われますが、もとになる考え方は同じことだと言えます。

the sky is the limit

A rebel without a clue

こちらのフレーズ。

A rebel without a clue
(指標なき反抗)

これはジェームス・ディーンの映画のタイトル『理由なき反抗(Rebel Without a Cause)』を拝借したものですね。

cause = 原因
clue = 手がかり

つまり

without a cause = 理由なき
without a clue = 手がかりなき

ということになります。

元ネタを尊重して漢字2文字に収めたかったので、私は「指標なき反抗」と訳しました。

あとがき

本日の記事を書くためにいろいろと調べていて、目に止まった情報なんですが、実はこの曲はかのアメリカのヘヴィメタバンド、ヴァン・ヘイレンのギタリスト、エディ・ヴァン・ヘイレン(Eddie Van Halen)がモデルだ、という説があるそうです。

トム・ペティ本人がインタビューでそう言っていたという情報がありますが、裏がとれていないので、真偽のほどは定かではありません。

私はヘヴィメタは苦手なので、ヴァン・ヘイレンというと「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマーティーが宇宙人のふりして若き日のお父さんを騙すときにかける音楽」、という印象がいちばん強いです。

それでは最後にMV版をどうぞ。