「The Night the Lights Went out in Georgia(ジョージアの灯は消えて)」の歌詞で英語の勉強【レザボア・ドッグス】

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本日はタランティーノの映画『レザボア・ドッグス』の冒頭の会話シーンの話題に出てくる70年代アメリカのヒット曲ヴィッキー・ローレンスの『The Night The Lights Went Out In Georgia』の歌詞で英語の勉強をしてみたいと思います。




目次

ヴィッキー・ローレンスの『The Night The Lights Went Out In Georgia』について

ヴィッキー・ローレンスの『The Night The Lights Went Out In Georgia』という曲は、1972年に当時のヴィッキーの夫であるボビー・ラッセルによって作詞・作曲され、1973年に全米1位になりました。

この曲です。

歌詞の内容はアメリカ南部の田舎で起こった殺人事件を語ったストーリー仕立て。

あらすじをざっと説明します。

主人公の「彼」は2週間、家を留守にしていて、帰る途中、親友のアンディがバーテンダーをやっている酒場に立ち寄ります。
アンディは「彼」に、留守中に奥さんがセス・エイモスという男と浮気をしていたことを暴露します。
取り乱す「彼」に、バーテンダーのアンディは、自分も過去に奥さんと浮気していたことを告白。
おまけに浮気していた奥さんは行方不明。
「彼」は怒りのあまり拳銃を持ってアンディの家に向かいますが、アンディの家の前には女性のものとおぼしき足跡があり、そして家の中にはアンディが血塗れで横たわっていました。
その後、「彼」は逮捕され、いい加減な裁判で殺人の罪を着せられ、無実であるのにも関わらず、縛り首になりました。

ここまで聞くと、事件の真相は、浮気していた奥さんがアンディを撃ち殺し、その罪を「彼」になすりつけ、逃亡したように思えます。

しかし、果たして真相は?

ここから先は歌詞をお読みください。

The Night the Lights Went out in Georgia(ジョージアの灯は消えて)

The Night the Lights Went out in Georgia
ジョージアの灯が消えた夜

He was on his way home from Candletop
Been two weeks gone and he’d thought he’d stop at Webb’s
And have him a drink before he went home to her

彼は2週間ほど留守にしてた
キャンドルトップから帰る途中、奥さんの待つ家に帰る前
ウェブの店に寄って、一杯ひっかけていくつもりだった

Andy Wolloe said hello
And he said, “Hi, what’s doing, Wo?”
Said, “Sit down, I got some bad news, it’s gonna hurt.”

「やあ」とアンディ・ウォーローは話しかけ
「よう、元気か、ウォー」と彼は答えた
「座れ。悪い知らせがある。傷つけちまうことになるが」

He said, “I’m your best friend and you know that’s right
But your young bride ain’t home tonight
Since you been gone, she’s been seeing that Amos boy, Seth.”

彼は続けた。「俺はお前の親友だ、わかってるよな
いいか、お前の若き花嫁は今夜、家にいない
お前が留守の間、彼女はセス・エイモスと会っていたんだ」

Well, he got mad and he saw red
And Andy said, “Boy, don’t you lose your head
Cause to tell you the truth, I’ve been with her myself.”

そう、彼は怒って、顔を真っ赤にした
続けてアンディは言った「なあ、取り乱すんじゃないぞ
実を言うとな、俺も彼女と付き合ってたんだ」

That’s the night that the lights went out in Georgia
That’s the night that they hung an innocent man
Well, don’t trust your soul to no backwoods southern lawyer
Cause the judge in the town’s got bloodstains on his hands

あれはジョージアの灯が消えた夜
あれは無実の男が縛り首になった夜
そう、南部の田舎の弁護士なんて信じちゃだめ
町の裁判官の手は血まみれよ

Well, Andy got scared and left the bar
Walking on home, cause he didn’t live far
See, Andy didn’t have many friends
And he just lost him one

そう、アンディはびびってバーを後にした
家はそれほど遠くなかったから、歩いて帰った
もともとアンディは友達は多くなかったけど
またひとり失ったってわけ

Brother thought his wife musta left town
So he went home and finally found
The only thing Papa had left him and that was a gun

奥さんは町から出たに違いないと、兄さんは思った
それで彼は家に帰って、ついに見つけたの
パパが残した唯一のもの。それは拳銃

Then he went off to Andy’s house
Slippin’ through the backwoods, quiet as a mouse
Came upon some tracks too small for Andy to make

He looked through the screen at the back porch door
And he saw Andy lying on the floor
In a puddle of blood and he started to shake

そして彼はアンディの家に向かった
森林の中をまるでネズミのように静かに駆けぬけていった
アンディにしてはやけに小さい足跡に出くわした
彼は裏口の網戸から中を覗いた
そして彼は床の血だまりの中に
アンディが横たわっているのを見て、震えだした

Well, the Georgia patrol was making their rounds
So he fired a shot just to flag them down
And a big-bellied sheriff grabbed his gun
And said “Why’d you do it?”

そう、ジョージアのパトロールは巡回中だった
それで彼は車を止めるために一発撃った
そしたら腹の出た保安官が彼から銃をもぎとって
そして言った「なぜ殺った?」

Well, the judge said guilty in a make-believe trial
Slapped the sheriff on the back with a smile
Said, “Supper’s waitin’ at home and I gotta get to it.”

そう、裁判官は偽りの裁判で、有罪を言い渡した
保安官は笑顔で背中を軽く叩いて言った
「夕食の時間だ、家に帰らなきゃ」

That’s the night that the lights went out in Georgia
That’s the night that they hung an innocent man
Well, don’t trust your soul to no backwoods southern lawyer
Cause the judge in the town’s got bloodstains on his hands

あれはジョージアの灯が消えた夜
あれは無実の男が縛り首になった夜
そう、南部の田舎の弁護士なんて信じちゃだめ
町の裁判官の手は血まみれよ

Well, they hung my brother before I could say
The tracks he saw while on his way
To Andy’s house and back that night were mine
And his cheating wife had never left town
And that’s one body that’ll never be found
See, little sister don’t miss when she aims her gun

そう、わたしが何も言えないうちに、兄さんは縛り首になった
彼があの夜、アンディの家に行く途中で見た足跡は
わたしだったの
それに彼の浮気していた奥さんは町を出ちゃいない
そう、誰も知らないところで死体になってるの
いい、幼い妹は銃口を向けたら決して外したりしないわ

That’s the night that the lights went out in Georgia, whoa-oh
That’s the night that they hung an innocent man, uh-huh
Well, don’t trust your soul to no backwoods, southern lawyer
Cause the judge in the town’s got bloodstains on his hands

あれはジョージアの灯が消えた夜
あれは無実の男が縛り首になった夜
そう、南部の田舎の弁護士なんて信じちゃだめ
町の裁判官の手は血まみれよ

Oh, that’s the night that the lights went out in Georgia

ああ、あれはジョージアの灯が消えた夜

on one’s way

He was on his way home from Candletop
(彼はキャンドルトップから帰る途中だった)

on one’s way from = 〜から帰る途中にいる
on one’s way to = 〜へ向かう途中にいる

Been two weeks gone and he’d thought he’d stop at Webb’s

Been two weeks gone and he’d thought he’d stop at Webb’s
(彼は2週間ほど留守にした後、ウェブの店に立ち寄っていこうと考えた)

「been two weeks」は、「it has been two weeks」の「it has」が省略されている形になります。

been two weeks = it’s been two weeks = もう2週間になる

その次の「gone」は「since he has been gone(彼が留守にして以来)」の「since he has been」が省略されていると考えると分かりやすいと思います。

gone = いなくなった、去った

よって、「been two weeks gone」は「2週間、留守にしていた」という意味になります。

been two weeks gone = 2週間、留守にしていた

もうひとつ、こちらの熟語も覚えておきましょう。

stop at = 〜に寄る

what’s doing

what’s doing? = 元気?

カジュアルな挨拶の言葉ですね。

lose one’s head

Boy, don’t you lose your head.
(なあ、取り乱すんじゃないぞ)

lose one’s head = 気が動転する、うろたえる

don’t (you) lose your head = 慌てるな、うろたえるな、落ち着け

to tell you the truth

Cause to tell you the truth, I’ve been with her myself.
(実を言うとな、俺も彼女と付き合ってたんだ)

to tell you the truth = 実は、何を隠そう

Brother thought his wife musta left town

Brother thought his wife musta left town.
(奥さんは町から出たに違いないと、兄さんは思った)

musta = must have の略

ここで、歌い手は「彼」の妹だということがわかりますね。

go off to, slip through そして come upon

Then he went off to Andy’s house
Slippin’ through the backwoods, quiet as a mouse
Came upon some tracks too small for Andy to make

そして彼はアンディの家に向かった
森林の中をまるでネズミのように静かに駆けぬけていった
アンディにしてはやけに小さい足跡に出くわした

go off to = 〜に出かける、〜に出向く

slip through = 通り抜ける

come upon = 出くわす

puddle

And he saw Andy lying on the floor
In a puddle of blood and he started to shake

そして彼は床の血だまりの中に
アンディが横たわっているのを見て、震えだした

puddle = 水たまり

make one’s rounds と flag down

Well, the Georgia patrol was making their rounds
So he fired a shot just to flag them down
And a big-bellied sheriff grabbed his gun
And said “Why’d you do it?”

そう、ジョージアのパトロールは巡回中だった
それで彼は車を止めるために一発撃った
そしたら腹の出た保安官が彼から銃をもぎとった
そして言った「なぜ殺った?」

make one’s rounds = (いつものルートを)巡回する、見回る

flag down = 旗を振って(合図をして)停止させる

「flag」は「旗を振る」で、「down」は「break down」の「down」と同じで、「その場に止まって動かなくなる」みたいなニュアンスの副詞です。
つまり「flag down」は文字通りに解釈すると「旗を振って停止させる」という意味。
これが熟語としては少し意味が広がって、何かしら合図をして停止させる、という意味になるんですね。

少し歌詞の内容を解説すると、ここは「彼」が殺人現場を目撃したことをちょうど通りかかったパトロール中の警察に知らせようとして、銃を空に向けて一発撃ったら、保安官に逆に犯人だと誤解されて、逮捕されてしまった、というくだりなのだと思います。

結構マヌケな部分ですね。

死体がそこにあって、拳銃を撃ったら、疑われない方がおかしいです。

make-believe

Well, the judge said guilty in a make-believe trial
(そう、裁判官は偽りの裁判で、有罪を言い渡した)

make-believe = 見せかけ、偽り

これは動詞(make)と目的語(believe)を形容詞化したものです。
もちろん以下のような「動詞+目的語」の熟語としても使用できます。

make believe = 信じさせる、見せかける、ふりをする

ちなみに「make believe」は「〜ごっこをして遊ぶ」という意味もあります。

ある映画から絶妙な用例をひとつ。

映画『イヴの総て』より
I used to make believe a lot when I was a kid. Acted out all sorts of things. What they were isn’t important. But, somehow, acting and make-believe began to fill up my life more and more. It got so I couldn’t tell the real from the unreal. Except that the unreal seemed more real to me…
(わたしは子どもの頃、ごっこ遊びばかりしていたんです。いろんなものを演じました。ありのままは重要じゃなかったんです。でも、どういうわけか、偽りを演じ続けることが自分の人生のすべてになっていったんです。非現実の世界で何が現実かを見分けることができなくなっていきました。ただ、非現実がわたしにとっては現実そのもののようだったんです・・・)

上の用例は女優さんの卵が、「自分は幼い頃から女優の資質があった」ということをプロデューサーに売り込んでいるセリフです。
「make believe」の「ごっこ遊び」と「偽りを演じる」両方の用例がひとつの文章に入っています。
しかも、この『イヴの総て』という映画は、真面目な女優さんだと思われていた主人公が、実は腹黒い人だった、という内容の映画ですから、「女優として架空を演じる」ということと「偽りを装って人をだます」ことの二重の意味合いで「make believe」という言葉が使われているので、これ以上の好例はありませんね。

事件の真相

この歌詞で謳われている事件の真相がついにこの部分で語られます。

Well, they hung my brother before I could say
The tracks he saw while on his way
To Andy’s house and back that night were mine
And his cheating wife had never left town
And that’s one body that’ll never be found
See, little sister don’t miss when she aims her gun

そう、わたしが何も言えないうちに、兄さんは縛り首になった
彼があの夜、アンディの家に行く途中で見た足跡は
わたしだったの
それに彼の浮気していた奥さんは町を出ちゃいない
そう、誰も知らないところで死体になってるの
いい、幼い妹は銃口を向けたら決して外したりしないわ

アンディを殺したのは、歌い手である「彼」の妹だったんですね。

この「語り手が犯人」というトリックはアガサ・クリスティが『アクロイド殺し』で使った例が有名です。

妹は浮気相手の奥さんも殺していて、死体はどこか誰にも見つからないところに隠していた。
つまり妹は兄を裏切ったアンディを殺し、その罪を浮気者の奥さんに仕立て上げようとしたんですね。

実はこの歌詞には裏設定があって、「彼」の奥さんは町の裁判官とも情事を重ねていたんだそうです。
裁判官は愛人である奥さんをかばって、「彼」に殺人の罪を着せたということになりますね。

第一、奥さんが逮捕されてしまうと、芋づる式に自分の不貞行為もバレてスキャンダルになってしまう可能性もあります。
裁判官としては何としてでも「彼」に罪をなすりつける必要があったんですね。

だから歌詞の中で「make-believe trial(偽りの裁判)」という言い方をしているのだと解釈できます。

結構よく出来たストーリーですね。

「The Night the Lights Went out in Georgia(さよならジョージア)

この曲を元にした映画『さよならジョージア』の1シーン(出典:imdb

あとがき

本日はヴィッキー・ローレンスの『The Night The Lights Went Out In Georgia』の歌詞で英語の勉強をしてみました。

ちなみに、この『The Night The Lights Went Out In Georgia』という曲は1981年にクリスティ・マクニコルとデニス・クエイド主演で映画にもなっています。
クリスティ・マクニコルのアイドル的人気で日本でも『さよならジョージア』のタイトルで公開されました。
ストーリーはアメリカを旅する歌手の兄とその妹との兄妹愛を描いたロードムービーで、セスやアンディといった登場人物は出てきますが、内容は完全に別モノという感じです。
私はクリスティ・マクニコルもデニス・クエイドも大好きな俳優だったので、けっこう好きな映画でした。

さて、次回は映画『レザボア・ドッグス』の冒頭の会話シーンで、この曲がどんな風に話題に上っていたのかを、英語の勉強と共に解説したいと思います。

冒頭の会話シーンで話題に出てくるヴィッキー・ローレンスの『The Night The Lights Went Out In Georgia(ジョージアの灯は消えて)』についての会話をピックアップして英語や内容を解説しました。