「悪気はなかった」「もういっぺん言ってみろ!」を英語で?【パルプ・フィクション】

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タランティーノの映画『パルプ・フィクション』で英語の勉強をするシリーズ。

今回で9回目になりました。

本日は「悪気はなかったんです(よかれと思ってしたことなんです)」「そんなつもりはありませんでした」「どうしましたか?」「お言葉を返すようですが」「どちらの国からいらっしゃいましたか?」「もういっぺん言ってみろ!」などの英語表現をとりあげました。

英会話に役立ちそうなセリフがたくさんですね。




目次

英文の引用と和訳:ジュールスがブレッドを脅すシーン

本日引用するのは以下の会話部分。

最初に貼った動画では4:07からの部分。
映画本編では始まって18分くらいのところです。

BRETT : I just want you to know how sorry we are that things got so fucked up with us and Mr. Wallace. We got into this thing with the best intentions. Really. I never…

Jules takes out his gun and SHOOTS Roger.

JULES : Oh, I’m sorry, did I break your concentration? I didn’t mean to do that. Please. Continue. You were saying something about “best intentions.”

Brett can’t say a word.

JULES : What’s the matter? Oh, you were finished! Oh, well, allow me to retort. What does Marsellus Wallace look like?
BRETT : What?
JULES : What country you from?
BRETT : What?
JULES : “What” ain’t no country I ever heard of. They speak English in What?
BRETT : What?
JULES : English, motherfucker! Do you speak it?
BRETT : Yes!
JULES : Then you know what I’m sayin’!
BRETT : Yes.
JULES : Describe what Marsellus Wallace looks like!
BRETT : What? I…
JULES : Say “what” again! Say “what” again! I dare you! I double dare you, motherfucker! Say “what” one more goddamn time!

ブレット「これだけはわかってほしいんです。ウォレスさんとの取り引きがこんなことになってしまって、本当に申し訳ないと思っています。われわれはただ、よかれと思ってやっただけで。本当に、決して・・・」

   ジュールス、銃をとりだし、ロジャーを撃ち殺す。

ジュールス「あっ、ごめん。中断させちまった? そんなつもりじゃなかったんだ。どうぞ、続けてくれ。『よかれと思って』とか何とか言ってたよな」

   ブレッド、言葉を失っている。

ジュールス「どうした? ああ、もう終わったんだ! じゃ、お言葉を返すようだけど。マーセルス・ウォレスは、何に似てた?」
ブレット「え?」
ジュールス「どちらの国から来たんだい?」
ブレット「え?」
ジュールス「『え』なんて国、聞いたことないな。英語しゃべるのか、そこ?」
ブレット「え?」
ジュールス「英語だよ、この野郎! どうなんだ!」
ブレット「はい!」
ジュールス「じゃあ俺の言ってることわかるよな!」
ブレット「はい」
ジュールス「マーセルス・ウォレスは何に似ていたか、言ってみろ!」
ブレット「え? あの・・・」
ジュールス「もういっぺん『え』と言ってみろ! 『え』って。さあ言ってみやがれ! さあさあさあ、この野郎! もういっぺん『え』って言ってみやがれ!」

「これだけはわかってください」を英語で?

I just want you to know how sorry we are …
(これだけはわかってほしいんです。本当に申し訳ないと思っているんです)

I just want you to know 〜
これだけはわかってほしいんです。〜

これは相手の心に近づきたいような状況に使えそうな構文ですね。

他のドラマや映画から用例を挙げてみます。
英会話の参考にしてください。

ドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』S1E7 より
SUSAN : I just want you to know, that as far as I’m concerned, you and me are the same.
PIPER : Pardon?
SUSAN : The only difference between us is, when I made bad decisions in life, I didn’t get caught. It could have been me here in khaki, easy.

スーザン「これだけは言っておきたいの。わたしに言わせれば、あなたとわたしは同じなのよ」
パイパー「どういうこと?」
スーザン「わたしたちが唯一、違った点は、わたしが間違いを犯した時に、捕まらなかった、ってことだけ。一歩間違えたら、わたしだってカーキ色の囚人服を着てここにいたかもしれないのよ」

上は刑務所が舞台のドラマで、フレンドリーな女性看守(スーザン)が、囚人の女の子(パイパー)に馴れ馴れしく話しかけている会話です。

次は同じタランティーノの映画から。

映画『レザボア・ドッグス』より
VIC : I want you to know I appreciate all the packages you sent me on the inside.
JOE : What the hell was I supposed to do? Forget about you?
VIC : I just want you to know that it meant a lot to me.
JOE : It was the least I could do. I wish to hell I could’ve done a lot more.
VIC : Thanks a lot, Joe.

ヴィック「中にいたときに送ってくれた差し入れ、本当に有り難いと思ってる」
ジョー「他にどうしろっていうんだい? お前のこと忘れられるわけないだろう?」
ヴィック「本当に、心から感謝してるよ」
ジョー「俺にできるせめてものことさ。あんなんじゃぜんぜん足りねえよ」
ヴィック「本当にありがとう、ジョー」

上は罪を被って刑務所に入っていたヴィックが出所後、服役中に差し入れをしてくれたジョーにお礼を言っている会話です。

fucked up の意味とは?

things got so fucked up with us and Mr. Wallace …
(ウォレスさんと私たちの取り引きがこんなことになってしまって・・・)

今更なボキャブラリーですが、一応ここに出てくる fucked up も解説しておきます。

fucked up は普通の言葉に直すと screwed up と同じことで

fucked up = めちゃくちゃなことになっちゃった、ダメになっちゃった

という意味になります。

「悪気はなかったんです(よかれと思ってしたことです)」を英語で?

We got into this thing with the best intentions.
(われわれはただ、よかれと思ってやっただけです)

こちらの英熟語に注目です。

do 〜 with the best intentions

辞書には「誠心誠意行う」と書いてありますね。

文脈としては、

悪気はなかったんだ
よかれと思ってやったんだ

という風に、何か悪いことが起きたときに使われることが多い気がしますね。

映画『塔の上のラプンツェル』の最後にかかる曲『Something That I Want(サムシング・ザット・アイ・ウォント)』の歌詞にもこの言葉が出てきて、一度解説したことがありました。

映画『塔の上のラプンツェル』より
She’s a girl with the best intentions
(彼女は善意の女の子)

「そんなつもりはなかった」を英語で?

I didn’t mean to do that.
(そんなつもりじゃなかった)

I didn’t mean to 〜 = 〜するつもりじゃなかった

「どうしたのですか?」を英語で?

What’s the matter? = どうしたの?

「お言葉を返すようですが」を英語で?

Allow me to retort.
(お言葉を返すようですが)

これは慣用句ではありませんが、覚えておいても損じゃないと思います。

ここで注目したいのはこの英単語。

retort = 言い返す

ここの -tort の部分の語源はラテン語の tortus(よじれる、ゆがんだ)に由来します。

そして re- は「逆に」などを意味する接辞。

相手からやってきた言葉を、グイッとねじって、逆に相手につっ返す、みたいなイメージの言葉ですね。

この tort は、

torture(拷問)
contort(ねじ曲げる、ゆがめる)
distort(ゆがめる、ねじる、曲げる、曲解する)
extort(奪いとる、ゆすりとる、強要する)
tort(不法行為)

などなど、ちょくちょく英単語の接辞で使われているので覚えておくといいと思います。

「どちらの国からいらっしゃいましたか?」を英語で?

What country (are) you from?
(どちらの国からいらっしゃいましたか?)

これも英会話に使えそうですね。

初対面の海外の人とお話しする機会には必須の表現だと言えます。

パルプ・フィクション

出典:imdb

「もういっぺん言ってみろ!」を英語で?

I dare you.
(やってみろ)

dare = あえて〜する、思い切って〜する

日本語でも「もういっぺん言ってみろ!」とか「やってみろ!」みたいな言い方がありますよね。
説明するまでもないですが、「それをするな」のキツい言い方です。

I dare you to 〜(動詞)

で、「〜をやってみろ!」という言い方になります。

「I dare you」は、この「to 〜(動詞)」以降が省略された形になりますね。

その次に出てくる

I double dare you

は強調で double(二重に、ダブルで)が入っているので、さらにキツい言い方になります。

他の映画から「I dare you」に「to 〜(動詞)」がついた形の用例をあげておきます。

映画『ヒズ・ガール・フライデー』より
HARTWELL : I’ll begin by impounding the Post’s property. Is this your desk?
HILDY : No!
BURNS : Yes! What are you afraid of, Hildy? I dare you to move this desk out of here.
HILDY : Yes. Go ahead, try it.
HARTWELL : All right. I will.

ハートウェル「まずは編集部の所有物の差し押さえから始めるか。これはあんたの机か?」
ヒルディ「やめて!」
バーンズ「いいんだ! 何をびびってるんだ、ヒルディ? この机をここから持ち出してみろ!」
ヒルディ「そうよ。さあ、やってみなさいよ」
ハートウェル「いいとも。やってやろうじゃないか」

あとがき

本日は映画『パルプ・フィクション』のジュールスがブレッドを脅すシーンで英語の勉強をしてみました。

ヤクザが人を殺す前の物騒な会話でしたが、使われているボキャブラリーは英会話で使えそうなものばかりでしたね。

それに、このシーンの英語はとても聴き取りやすいですよね。

以前、私は『英語の勉強にタランティーノの映画をおすすめするこれだけの理由』という記事で、タランティーノの映画のセリフ回しには特有のリズムがあって、早口でも聴き取りやすいと申し上げましたが、この一連の会話シーンなど、そのいいサンプルになっていると思います。

ぜひボキャブラリーと一緒にリスニングも鍛えちゃってください。