【レザボア・ドッグス】オープニングの会話で英語の勉強その1

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映画史上もっとも有名なオープニングの会話シーンと言ったら、タランティーノのデビュー作『レザボア・ドッグス』をあげる人はかなりいるんじゃないでしょうか。

こちらのシーンです。

(リング切れになっていたら、YouTubeで「Reservoir Dogs opening」などで検索してみてください)

この会話シーンを有名たらしめている最大の理由は、なんといっても脚本を書いたタランティーノの文章センスに尽きると思います。

英語のボキャブラリーも実に豊富で、英会話に役立つ表現から、あまり使われないけどおもしろい表現まで、もりだくさんです。

そこで、このブログでは2回にわけて、『レザボア・ドッグス』冒頭の会話シーンからボキャブラリーをピックアップして、解説してみたいと思います。

まず第1回目は前半部分、主に「マドンナ」と「手帳」についての話題からピックアップいたしました。

各セリフのところに映画が始まって何分目のところか記載してありますので、映画本編と照らしながら参考にしてください。




vulnerable

ミスター・ブラウンがマドンナの『ライク・ア・ヴァージン』について自分なりの極端な解釈を語ります(その内容は18禁なので、ここには詳しく書きません)。
それに対して、ミスター・ブロンドは以下のセリフで反論します。

No. It ain’t. It’s about a girl who’s very vulnerable.
(違うよ。あれは、とても傷つきやすい女の子のことを歌っているんだ)
※映画が始まって10秒のところ。

vulnerable = 傷つきやすい、か弱い

私はこの「vulnerable」という単語、このセリフで初めて知りました。
傑作映画の名会話シーンで覚えた単語は一生忘れないものですので、皆さんもご存知なかったら、この機会に覚えてしまいましょう。

train of thought

ミスター・ブラウンがしつこくマドンナの『ライク・ア・ヴァージン』についての説明を続けようとすると、それを遮るように、仲間たちがマドンナのミーハーな話題をしはじめます。
話しを中断されて怒ったミスター・ブラウンが吐くセリフがこちら。

Hey, you guys are making me lose my train of thought here. I was saying something. What was it?
(おい、お前らのせいで俺の頭ん中、真っ白になっちゃったぞ。話してたのに。何の話しだったっけ?)
※映画が始まって50秒のところ。

ここでの勉強ポイントは以下の表現。

train of thought = 一連の考え(思考の連なり)

これは日本語ではひとことで対応するボキャブラリーのない表現ですね。

この場合の「train」は「列車」じゃなくて「つながり」のほうの意味。

「〜だから〜であり、それゆえに〜なので〜ということになる」みたいな感じで、思考が続いてゆく様を言い表す言葉がこの「train of thought」ということになります。

セリフの中では「lose my train of thought」という風に、動詞「lose」の目的語として使われています。

もしこれと同じ意味のことを日本語で言おうとしたら、おそらく「お前らのせいで何を話してたのか分からなくなっちゃったぞ」という言い回しが一番自然かと思います。

coon’s age

さらにボスのジョーが手帳の話題をさしはさんできます。

It’s an old address book I found in a coat I haven’t worn in a coon’s age.
(これは長いこと着てなかったコートで見つけた古いアドレス帳だ)
※映画が始まって1分5秒のところ。

ここにこんなおもしろい表現があります。

coon’s age = 長い間

「coon」とは「raccoon」の短縮系で、「アライグマ」の意味。

「アライグマの時代」で何で「長い間」という意味になるのかというと、アメリカの古い伝承で、アライグマは長生きだと言われていたことが語源なのだそうです。
18世紀初頭からあった表現とのこと。

ちなみにまったく同じ意味で、これらの表現があります。

in a crow’s age
dog’s age
donkey’s years

文字通りには上から「カラスの時代」「犬の時代」「ロバの年月」などの意味ですが、どれも「長い間」という意味とのことです。

drone on

古い手帳をペラペラめくりながらブツブツ言ってるジョーにイラついたミスター・ホワイトは文句を言います。

For the past 15 minutes now, you’ve been droning on about names. “Toby. Toby? Toby? …”
(この15分間というもの、お前はダラダラと名前を呟き続けてやがる。「トビー。トビー? トビー?・・・」)
※映画が始まって2分20秒のところ。

ここは、この熟語に注目です。

drone on = 〜ついて抑揚のない声で話す、ダラダラしゃべり続ける

この「drone」は撮影などに使われる無人飛行機「ドローン」と同じ単語で、元の意味は「雄のミツバチ」。
これが動詞になると「ブンブン音をたててうなる」みたいな意味になり、「(人が)抑揚なくダラダラとしゃべり続ける」という意味にもなるわけですね。

You shoot me in a dream, you better wake up and apologize

ジョーのひとりごとに我慢ができなくなったミスター・ホワイトは、ジョーから手帳をとりあげます。
「返せ」と迫るジョーに、もう横でブツブツを聞きたくないミスター・ホワイトは「嫌だ」と断ります。
そこにジョーの親友であるミスター・ブロンドが割って入ってきて、こんな冗談を交わし合います。

MR. BLONDE : Hey, Joe, want me to shoot this guy?
MR. WHITE : Shit. You shoot me in a dream, you better wake up and apologize.

ミスター・ブロンド「なあ、ジョー。こいつ、撃ち殺してやろうか?」
ミスター・ホワイト「へっ。例え夢の中で俺を撃ったとしても、お前は起きて謝りにこなきゃならないぜ

※映画が始まって2分50秒のところ。

ここの「You shoot me in a dream, you better wake up and apologize」は、「そんなことしたらしょうちしないぞ」という意味のことをおもしろく言い換えたタランティーノらしいレトリック表現ですね。

実はこれには元ネタがあって、1938年の映画『汚れた顔の天使(Angels with Dirty Faces)』にあった以下のセリフのオマージュだそうです。

You slap me in a dream, you better wake up and apologize.
(夢で私を叩いても、起きて謝りにくるべきだ)

『レザボア・ドッグス』のミスター・ブロンド(マイケル・マドセン)

銃を撃つ真似をするミスター・ブロンド(出典:imdb

zone out

話題は変わって、エディが昔ヒットしたカントリーソングの歌詞について語り始めます。
「当時ラジオで何度も聴いたはずなのに、ずっと長いこと歌詞の内容を勘違いしていた」と言うエディ。

I must’ve zoned out during that part before.
(そこの部分でボーッとしていたとしか思えねえ)
※映画が始まって3分45秒のところ。

ここに英会話に使えそうなこんな表現があります。

zone out = ボーッとする、居眠りをする、集中が切れる

「zone」は「ゾーン」、つまり「区域」を意味する言葉。
これが動詞になると「区分する」みたいな意味になり、さらに「out」をつけることで、「その時だけ頭から意識がスッポリ抜けてしまっていた」みたいな意味で使えるんですね。

あとがき

以上、本日はタランティーノの『レザボア・ドッグス』のオープニングから、ボキャブラリーをピックアップしてお送りしました。

最後のカントリーソングの話題については、近いうちに別の記事で詳しくとりあげたいと思います。

それでは次回は同じ『レザボア・ドッグス』のオープニングの会話から、有名な「チップ」についての会話部分をとりあげて、ボキャブラリーの解説をしたいと思います。