term の用法あれこれ【バリー・リンドン】

ミラノ中央駅

皆さんは term って英単語にはどんなイメージをお持ちでしょうか。

私はやはり、アメリカで英語を勉強した輩なので、「用語」「言い回し」「表現」の印象が強いです。
ネイティブの先生に英語で授業を受けると、毎回連発される言葉だから無理もありません。

しかし普通の日常会話においては、それ以外に「関係」「条件」「期間」の3つで使われることも多いですね。

「関係」の意味で使われる場合は、「〜に関して」の意味もありますが、「人間関係」「間柄」の意味で使われることの方が多い気がします。

本日引用するキューブリックの映画『バリー・リンドン』のセリフは、そんな「人間関係」「間柄」での用例。

ブリンドンがバリーに反抗的な態度をとって、バリーが怒って、ブリンドンのお尻を杖で6回打った直後のバリーのセリフ。

映画が始まって1時間55分30秒くらいののところ。

Lord Bullingdon I have always been willing to live with you on terms of friendship. But be clear about one thing: As men serve me, I serve them. I never laid a cane on the back of a Lord before, but, if you force me to, I shall speedily become used to the practice.
(ブリンドン卿、あなたとは親しくやっていきたいとずっと思っていた。しかしこれだけははっきりさせておきたい。持ちつ持たれつであること。私は今まで貴族を杖で折檻したことはなかったが、あなたがそのつもりなら、私は躊躇するつもりはない)




on terms of 〜の間柄で

こちらの一節にご注目ください。

I have always been willing to live with you on terms of friendship.
(あなたとは親しくやっていきたいとずっと思っていた)

ここに term という単語が出てきますが、こちらは

on terms of 〜 = 〜の間柄で

という熟語ですね。

on terms of friendship というフレーズで出てきますから、「お友だちの間柄で」という意味。
つまり「あなたとは仲良くしたいと思っていたよ」ということですね。

それではついでに、「関係」の意味で terms を使った熟語を他にもいくつかご紹介いたします。

on terms of intimacy with 〜と親密な間柄

同じバリーリンドンに、もう1回「人間関係」の用法で terms という言葉が出てきます。

映画本編がはじまって2時間2分30秒くらいのところ。
バリーが貴族の称号を獲得するために、友人のハラムにコネを相談するシーン。
ハラムが友人のウェンドーバー伯を紹介するセリフ。

Well, sir, this nobleman is one of the gentlemen of His Majesty’s closet, and one with whom our revered Monarch is on terms of considerable intimacy.
(そう、この貴族は国王陛下の有力な側近の一人でね、とても親しい友人でもあるんだよ)

このセリフには以下の熟語が使われています。

on terms of intimacy with 〜 = 〜と親密な間柄

intimacy = 親密

on speaking terms 会えば言葉を交わす間柄

もうひとつ、term が「人間関係」を表す熟語で、こんなのがあります。

on speaking terms = 会えば言葉を交わす間柄

It so happens that l am on speaking terms with a poetry editor at The Atlantic Monthly. He spoke at my college once. l’ll call him and tell him about you.
(わたし、たまたま月刊アトランティック編集部の詩の担当さんと知り合いなの。以前わたしの大学で講義に来たのよ。彼に電話して、あなたのことを紹介するわね)

TVドラマ『チアーズ シーズン1』より

日本語でよく「友達というほどではないけど、知り合い」みたいな物言いがありますが、そんな感じのニュアンスを表したいときに使えそうなボキャブラリーですね。

in terms of

次は単純に term が「関係」のニュアンスで使われている熟語。

in terms of = 〜に関しては、〜の面では

Now, I know there have been some rumours going around that the bank is no longer funding us. Well, I am here to put those rumours to rest. They are true. In terms of money, we have no money.
(さて、銀行に融資を断られたとの噂がたっているようだね。まあ、そんな噂もこれっきりだ。みんな事実だよ。我らのおサイフ事情は、すっからかんだ)

映画『怪盗グルーの月泥棒』より

それではさらについでに、term の「関係」以外の用例もご紹介いたします。

term「用語」の用例

こちらは「用語」「言い回し」「表現」などの用例。

Virgil : Smoke the freak out.
Linus : Hey!
Virgil : What?
Linus : Do we have to use that term?
Virgil : What term?
Linus : “Freak”

バージル「変人は燻り出しちまえ」
ライナス「おい!」
バージル「なんだよ?」
ライナス「その表現、使う必要あるのか?」
バージル「なんの表現?」
ライナス「“変人”だよ」

映画『オーシャンズ12』より

in the simplest terms 簡潔に言うと

term の「用語」の用例で、こんな熟語があります。

in the simplest terms = 簡潔に言うと

What we did was wrong, but we think you’re crazy to make us write an essay telling you who we think we are. What do you care? You see us as you want to see us. In the simplest terms. The most convenient definitions. You see us as a brain, an athlete, a basket case, a princess and a criminal.
(俺たちは違反を犯した。でも自分のことをどう思っているかを作文にしろだなんて、ムチャクチャだ。どうでもいいだろ? 俺たちのことなんて、好きに見たらいいんだ。簡潔で、適当な言葉で。俺たちはご覧の通り、ガリ勉、スポーツ馬鹿、不思議ちゃん、お姫様、そしてチンピラさ)

映画『ブレックファスト・クラブ』より

term の「条件」の用例

次は「条件」の用例。

I am working on something that will explode like a bomb all over Europe. I’ll be the richest man in Vienna. I’ll pay you back. Double. Anything. You name the terms.
(ヨーロッパ中に激震が走るような作品に取り掛かっているんです。僕はウィーンいちの金持ちになりますよ。お金は返します。倍にして。いや何倍でも。条件はあなたが決めてください)

映画『アマデウス』より

BUDD : Guess what I’m holding in my hand right now?
ELLE : What?
BUDD : A brand spanking new Hattori Hanzo sword. And I’m here to tell ya, Elle, …that’s what I call sharp.
ELLE : How much?
BUDD : Oh, that’s hard to say, bein’ that it’s… priceless and all.
ELLE : What’s the terms?
BUDD : You get your bony ass down here first thing in the morning with a million dollars in folding cash and I’ll give you the greatest sword ever made by a man.

バド「俺が今、この手に何を持ってるかわかるか?」
エル「なによ?」
バド「新品ホヤホヤ、服部半蔵の刀だ。いいか、エル。こいつぁ切れるぜ」
エル「いくら?」
バド「ううん、難しいな、こいつぁ……値段がつけられないときてるからな」
エル「条件は?」
バド「明日の朝一番に百万ドルの札束持って来い、そしたら人類史上最高の刀をお前にやるぜ」

映画『キル・ビル Vol.2』より

come to terms with 〜と折り合いをつける

「条件」の意味で term を使ったこんな熟語があります。

come to terms with 〜 = 〜と折り合いをつける、〜を甘受する、受け入れる

ただこの場合の term は「条件」とは言っても、自分自身との交渉といった概念での「条件」ですので、精神的な意味合いでよく出てくる印象があります。

You’re always gonna be tearing away yourself till you come to terms with what you are.
(お前はいつも、自分自身を引き裂き続けることでしか、自分の本性と折り合いをつけられないんだ)

映画『ランボー3』より

上のセリフ、映画の字幕では「いつも悩み抜いて、自分を苦しめてる」となっています。
字幕と照らし合わせるとニュアンスがつかみやすいですね。

If you want my movie, you’re gonna have to come to terms with your fear and desire.
(俺の映画が欲しいなら、さっさと自分の不安と欲望に折り合いをつけることですね)

映画『トゥルー・ロマンス』より

term の「期間」の用例

次は「期間」の用例として、2つの熟語をご紹介します。

term of office 任期

term of office = 任期

All presidents that start war in their first term of office always get re-elected. I thought I was going to have to bomb Australia or something.
(1目で戦争をはじめた大統領はみんな2目も当選してるのよ。オーストラリアに爆弾落とすか何かしようと思ってたわ)

映画『アイアン・スカイ』より

上はアメリカの大統領が戦争が始まって喜んでいるセリフです。

term of agreement 契約期間

term of agreement = 契約期間

Winslow, what a foolish thing to do. Didn’t you read your contract closely? See where it says Terms of Agreement, can you read what it says? “This contract terminates with Swan.” No more suicides, Winslow, you gave up your right to rest in peace when you signed this contract.
(ウインスロー、なんてバカなことを。契約書をよく読まなかったのか? 契約期間についてのところを見てみろ、なんて書いてある? “この契約はスワンとともに終了する” もう自殺などするな、ウインスロー、お前はこの契約書にサインをした時点で、安らかに眠る権利を放棄したのだ)

映画『ファントム・オブ・パラダイス』より

term「学期」の用法

term を「期間」の意味で使う用例として他に、「学期」があります。
例えば「春の学期」を spring term みたいに言い表します。

ただ「学期」を意味する場合は term の他に semester という言葉もよく使われます。

semester = 学期

term と semester の違いですが、調べてみたところ、term はイギリスで主に使われ、semester はアメリカで使われる、という意見と、semester は本来「半年」という意味なので、年2学期制の学校に使われ、term は何学期制の学校にも使われる、という意見と2通りありました。

ちなみに私が通っていたアメリカの大学は春・夏・秋の3学期制でしたが、term より semester を使う人の方が多かったように記憶しています。

あとがき

本日は映画『バリー・リンドン』のセリフをきっかけに、term という単語の用法をざっと解説してみました。

この term という言葉はラテン語の terminus(終わりの)からきているそうです。
現在の英語に同じ意味の terminal という単語がありますよね。

terminal は「終わりの」という意味もあれば、「終着駅」の意味もあり、そこから発展して「分岐点」といった概念もあります。

term という単語が「期間」や「条件」や「関係」を意味するのはこの「分岐点」のような概念から派生したニュアンスだと想像できると思います。

「用語」の意味は、「終わりの」から「境界線を引く」みたいな概念に発展し、「言葉で定義する」のような意味合いが生まれてきたようです。

こうして考えると term って、ちょっとややこしい単語ですね。

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