本日はタランティーノの映画『イングロリアス ・バスターズ』のこちらのシーンをピックアップしてみました。
上に貼った動画の0:58からの部分。
映画本編では70分23秒のあたりです。
LT. HICOX : You know, we’re not looking for trouble right now. Simply making contact with our agent. Should be uneventful. However, the off chance I’m wrong, things prove eventful, I need to know we can all remain calm.
SGT. STIGLITZ : I don’t look calm to you?
LT. HICOX : Well, now that you put it like that, I guess you do.ヒコックス中尉「いいかい、今のところ、われわれは特にコトを起こす予定はない。ただ味方のスパイとコンタクトをとる。それだけだ。しかし万が一、私が間違っていて、コトが起きた場合はだな、みんな大人しくいい子でいられるかい」
スティグリッツ軍曹「いい子に見えませんか、俺?」
ヒコックス中尉「まあ……そう言われてみれば、そうとも言えるな」
on the off chance
本日の英語の勉強はこちらの1行からはじまります。
the off chance I’m wrong
万が一、私が間違っていたら
ここにある the off chance は on the off chance という英熟語の on が省略されている形ですね。
on the off chance = 万が一
他の映画から on が入った形の用例を探してみました。
同じタランティーノの映画です。
映画『ジャンゴ 繋がれざる者』より
Oh, and on the off chance, there are any astronomy aficionados amongst you, the North Star is that one.
(ああ、そうそう、万が一、君たちの中に天文学に興味のある人がいるかもしれないから言っとくけど、北極星はあれだからね)
chance は「チャンス(好機)」という日本語にもなってるくらいですから、日本人には馴染みのある言葉ですね。
映画を見ているとこの chance を使った熟語が英語にはたくさんあることに気がつきます。
そこで、本日はいろいろな映画から、chance を使った英熟語あれこれをピックアップしてみました。
by any chance
on the off chance と同じような意味の chance を使った熟語で、こんなのがありますね。
しかも on the off chance より使われる頻度は高いです。
by any chance = ひょっとして、万が一、もしかして
この熟語は主に疑問文で見ることが多いですね。
映画『キル・ビル Vol.2』より
I know this is a ridiculous question before I ask it, but you haven’t, by any chance, kept up with your swordplay?
(聞くだけヤボかもしれないが、もしかして、お前は剣術の鍛錬は続けてはいないのか?)
映画『サウンド・オブ・ミュージック』より
Have my children, by any chance, been climbing trees today?
(私の子供たちは今日、ひょっとして、木登りをしていなかったか?)
by chance
by any chance から any をとると、別の英熟語になります。
中学校で習う懐かしの英熟語のひとつですね。
by chance = 偶然に
映画『赤い靴』より
BOISSON : Would you like me to arrange a meeting with Irina?
LERMONTOV : Not arrange. By chance.ボワソン「イリナと会えるよう手配いたしましょうか?」
レルモントフ「手配はダメだ。偶然がいい」
not a chance
not a chance = 望みなし、絶対ありえない
こちらは文字通りには「ただひとつのチャンスもない」という意味で、相手の言うことを否定するときによく使われます。
映画『時計じかけのオレンジ』より
GOVERNOR : We need larger prisons, more money.
FREDERICK : Not a chance, my dear fellow. The government can’t be concerned any longer with outmoded penological theories.知事「もっと大きな刑務所が、その予算が必要ですね」
フレデリック「それは望み無しだね、君。政府はもう時代遅れの刑罰理論には興味がないんだ」
映画『フロム・ダスク・ティル・ドーン』より
SETH : We’re gonna go on a little ride.
JACOB : Not a chance.
SETH : Come again?セス「俺たち皆でちょっとしたドライブをするんだ」
ジェイコブ「それはあり得ない」
セス「なんだと?」
fat chance
not a chance と同じように使える言葉で、not a chance ほどは絶望的ではない場合、こんな表現もあります。
fat chance = 見込み薄
これも映画を見ているとよく出てくる言葉ですね。
映画『赤い河』より
CHERRY : I’ve taken a liking to that gun of his.
GROOT : Fat chance you got of getting that, bub.チェリー「ヤツのあの銃も気に入ったしな」
グルート「あれを手に入れられる望みは薄いぞ、おい」
「それはちょっと望み薄じゃないか」と言いたいときにひと言「Fat chance」と言う、みたいな感じで使えます。
stand a chance
一方、こちらは chance を使った「見込みがある」という表現。
stand a chance = 見込みがある
映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』より
Chief, if I were surrounded by six or eight of these things, would I stand a chance with them?
(隊長、もし6〜8人ヤツらにとり囲まれた場合、助かる見込みはありますか?)
映画『アナと雪の女王』より
As thirteenth in line in my own kingdom, I didn’t stand a chance. I knew I’d have to marry into the throne somewhere.
(俺のところの王国では13人も前がつかえているもんでね、見込みはない。どこか他の王位継承者と結婚するしかなかったんだ)
the chances are 〜
これもよく見る表現ですので、覚えておくといいです。
the chances are 〜 = 多分(恐らく)〜である
以下の用例のように、the chances are の後にセンテンスを伴って使います。
映画『カサブランカ』より
Any idea what you’d have to look forward to if you stayed here? Chances are we’d both wind up in a concentration camp.
(ここにいたらどうなるかわかってるのか? 恐らく俺たち2人とも強制収容所でおしまいさ)
映画『パシフィック・リム』より
The brain segment is the frontal lobe. Chances are the segment’s far too damaged to Drift with.
(脳は前頭葉の部分。恐らく使用部分はじゅうぶんドリフトできる程度に損傷は無し)
0:10からの部分
辞書には the chances are で載ってますが、こうしてみると the は省略されてるケースが多いですね。
chance meeting
これもたまに見る表現ですね。
chance meeting = 偶然の出会い
映画『ロッキー・ホラー・ショー』より
DR. FRANK N. FRUTER : You know this earthling … this person?
BRAD : I most certainly do. He happens to be an old friend of mine.
DR. FRANK N. FRUTER : I see. So this wasn’t simply a chance meeting.フランク・N・フルター博士「お前、この地球人……この人を知ってるの?」
ブラッド「もちろんです。他でもない、彼は僕の旧友です」
フランク・N・フルター博士「ふむ。ってことは、これはただの偶然じゃないってことね」
あとがき
本日は映画『イングロリアス ・バスターズ』の会話をきっかけに、chance を使った英熟語をいろいろな映画からピックアップしてみました。
あくまでも私が映画で耳にしたことのある言葉を集めてみましたので、日常会話でもっと他によく使われるものもあるかもしれませんが、どの表現も覚えておいて損はないと思います。