ディズニー映画『アナと雪の女王』のセリフで、こんなのがあります。
エルザがいつも手袋をしていたことを、アナがクリストフに説明するシーンです。
She wore the gloves all the time, so I just thought, maybe she has a thing about dirt.
(彼女 [エルザのこと] はいつも手袋をしてて、わたしはまあ単純に潔癖症なのかな、くらいに思ってたんだけど)
本日はここに出てくる have a thing about という英熟語をピックアップして、英語の勉強をしてみたいと思います。
have a thing about とは
have a thing about は、
have a thing about = 〜についての特別な感情を抱いている
という意味ですが、特別な感情とは
「好き」とか「嫌い」とか「怖い」とか「苦手」
などですね。
文脈によっていろいろに解釈できるわけです。
ただ、どちらかというと否定的な意味合いで使われることが多いようです。
ここでは対象が dirt(汚れ)ですから
she has a thing about dirt
(彼女は汚れに対して特別な感情を抱いている)
つまり
「彼女は潔癖症だ」
という解釈になるわけですね。
特別な感情 = 強迫観念
この have a thing about を英英辞書で引いてみたところ
have a thing about = be obsessed with
という説明を見つけました。
obsess は obsession(強迫観念)の動詞形、いわゆる
「とりついて悩ます」
という意味ですね。
「強迫観念」を辞書で引いてみると
“無意味と思われ,その不合理性を本人は意識しているが,自己の意志に無関係に絶えず頭に浮かび,除去しようとしても取り除けない状態”
と載っていました。
常にそのことが頭から離れない、あるいは、それを前にすると「好き」なり「嫌い」なり「怖い」なり「嫌悪感」なり、特別な感情がわいてきて、それが自分では行き過ぎ、あるいは無意味だとわかっていても、止めることができない、ということになります。
普通の「好き」や「嫌い」や「怖い」や「苦手」よりちょっと強い、もしくはしつこい感じの表現になりますね。
このアナのセリフに出てくるケースでいうと、「キレイ好き」なんじゃなくて「潔癖症」だ、ということです。
映画でみつけた「強迫観念」の用例集
他の映画からも用例を探してみました。
ちなみに下の用例は have のかわりに get が使われていますが、英熟語ではフォーマルには have を使うべきところでカジュアルに get を使うことがよくあります。
映画『エンジェル・ハート』より
LOUIS : Some religions think the egg is the symbol of the soul, did you know that?
HARRY : No.
LOUIS : Would you like an egg?
HARRY : No, thank you. I got a thing about chickens.ルイ「ある宗教では卵は魂の象徴とされているそうだ。知ってるかね?」
ハリー「いや」
ルイ「卵、いるかね?」
ハリー「いや、いい。トリは苦手なもんで」
下の動画の1:50からの部分
この『エンジェル・ハート』という映画をご覧になった方はなんとなくおわかりになるかと思いますが、強迫観念の用例としてはかなり深い使われ方をしていますね。
上で引用したシーンを合わせて、主人公のハリーが「I got a thing about chickens(トリは苦手なもので)」と言うシーンは全部で3つもあります。
have a thing for になると…
さて、この have a thing about の前置詞が about から for になった英熟語もあります。
本日はこちらもついでに覚えてしまいましょう。
have a thing for = 〜が好き
have a thing about だと「好き」だとか「嫌い」だとか「怖い」だとか「苦手」だとか、文脈によっていろいろな解釈ができますし、どちらかというと否定的な意味合いで使われることが多いのに対し、前置詞が for になると、ほぼ「〜が好き」という意味だけで使われます。
こちらも他の映画から2つばかし用例をあげてみます。
映画『インデペンデンス・デイ』より
Jasmine kinda has a thing for dolphins.
(ジャスミンはイルカが大好きなんだ)
映画『2012』より
She has a thing for hats.
(この子は帽子が大好きなの)
ちなみに上にあげた2つの映画、どちらもローランド・エメリッヒ監督ですね。
やっぱり監督によって使われる言葉に傾向ってあるんでしょうか。
以上、「強迫観念」と呼ぶほどではないケースも多いですが、なんとなくいつも頭から離れない、こだわってしまう、その気持ちをおさえられない、という感じを表す言葉として覚えておくといいと思います。