steep と sheer の違いについて【アナと雪の女王】

シェアする

本日はディズニー映画『アナと雪の女王(Frozen)』のこちらのシーンから、英語の勉強になりそうな会話をピックアップしてみました。

上に貼った動画では0:34からのところ。
映画本編では51分20秒のところです。

ANNA : What now?
KRISTOFF : Ummmm. It’s too steep. I’ve only got one rope, And you don’t know how to climb mountains.
ANNA : Says who?
KRISTOFF : What are you doing?
ANNA : I’m going to see my sister.
KRISTOFF : You’re going to kill yourself. I wouldn’t put my foot there.
ANNA : You’re distracting me…
KRISTOFF : Or there. …. How do you know Elsa even wants to see you?
ANNA : I’m just blocking you out ‘cause I gotta concentrate here.

アナ「どうする?」
クリストフ「う〜ん。険しすぎるな。ロープはひとつしか持ってないし。きみは山登り知らないし」
アナ「そんなこと、誰が言ったの?」
クリストフ「何やってんだよ?」
アナ「姉に会いに行くに決まってるでしょ」
クリストフ「死ぬぞ。そこ、足掛けられないよ」
アナ「気が散るから……」
クリストフ「そこじゃなくて、そこ。……エルザが会いたくないって言ったらどうするんだよ?」
アナ「あなたを無視してこっちに集中するね」

ここ、短い会話ですが、日常会話に使えそうな熟語がちらほらあって、英語の勉強ポイントはかなり高めですね。




目次

「険しい」を英語で?

ここで目についたのが、2行目のクリストフのセリフに出てくるこの単語。

steep = 険しい

なんでこの言葉が目についたのかというと、この映画の最初で歌われる曲『Frozen Heart(氷の心)』の歌詞にこんな一節があったことを思い出したからです。

See the beauty, sharp and sheer
Split the ice apart

見ろ、美しくて、鋭くて、険しい
氷を切り出せ

ここに sheer という単語が出てきますよね。
こちらも「険しい」という意味で使われています。

「険しい崖」とか「険しい山道」みたいに使われる言葉ですね。
切り立った崖とか、めちゃめちゃ急な山道などを描写する形容詞です。

steep と sheer の違いとは?

こうなると steep と sheer はどう違うのか?
という疑問がわいてきますよね。

英英辞書で調べてみたら、

sheer = extremely steep

という説明が載っていました。

つまり steep がさらに急になると、sheer になる、という解釈になりますよね。

そこで、Google画像検索でチェックしてみました。
ところが、steep はスキーの画像ばかりが出てきますし、
sheer はセクシーな女性の下着ばかりが出てきます。

どうも steep は『steep』というタイトルのスキーのビデオゲームがあるらしく、また sheer は「透き通るように薄い」という意味もあるので、シースルーの下着ばかりが出てくるようです。

そこで、それぞれ「cliff(崖)」という単語をくっつけて、「険しい崖(切り立った崖)」で検索してみます。

steep cliff の画像検索結果
sheer cliff の画像検索結果

ほとんど出てくる画像の感じは同じですね。

そこで、「mountain path(山道)」という熟語をくっつけて、「険しい山道」で検索してみました。

steep mountain path の画像検索結果
sheer mountain path の画像検索結果

こうすると、確かに sheer の方が steep より急な斜面が多く出てきますね。

いろいろ検索してみると、steep と sheer の違いはとても曖昧で、ネイティブでも言ってることがまちまちのようです。

画像検索をした結果では、崖を描写する場合は、ほとんど steep も sheer も同じように使えるけど、坂道とか山道はちょっと使い分けが必要、という感じでしょうか。

だいたい、崖って普通、ほぼ直角になっているものですから、当たり前といえば当たり前かもですね。

steep & sheer

「険しい」以外の用法

さて、steep と sheer には「険しい」以外の意味もあるようですが、他の用法ではどう違いがあるのか?

ここでやっと英和辞書の登場。

steep = 険しい、(金額などが)法外に高い・不当に高い、無茶な
sheer = 険しい、完全な(まったくの)、ごく薄い(透き通るような)

こうして他の意味と照らし合わせて考えてみると、steep は「とてもじゃないけど登れないような急斜面」で、sheer は純粋に、「直角に切り立った」みたいなイメージの言葉、という気がしますね。

それぞれ他の映画から「険しい」以外の用例を探してみました。

steep の「険しい」以外の用法

まずは steep の「険しい」以外の用例。

映画『シカゴ』より
MAMA MORTON : First, you give me $100. Then I make a phone caII.
ROXIE : $100? WeII , you just … I mean, it seems pretty steep for a phone caII.

ママ・モートン「まず100ドル払いな。そしたら電話で連絡とってやるよ」
ロキシー「100ドル? たかが……あのう、電話一本でそれはちょっと法外な金額じゃないかしら」

映画『ジャンゴ 繋がれざる者』より
If y’all think my price… for this nigger here is too steep… what I’m gonna desire to do is… take this goddamn hammer here and beat her ass to death with it.
(この黒人の値段が法外だ……と言うのなら、構いはしない、このハンマーで殴り殺すまでのことだ)

上の2つの用例をご覧になってみてもわかるとおり、steep は「険しい」以外は、ほとんど「法外に高い」の用例ばかりでした。

steeple(尖塔)

ついでにもうひとつ、steep という単語を見ていて、思い出した言葉があります。

このブログの記事で取り上げている他の映画『サウンド・オブ・ミュージック』の『So Long, Farewell(じゃあまたね、ごきげんよう)』という曲の歌詞に、こんな一節がありますよね。

There’s a sad sort of clanging
From the clock in the hall
And the bells in the steeple, too

チャイムの音がもの悲しげに
ホールの時計から響いてくる
あと、教会の尖塔の鐘からも

ここに出てくる steeple という単語、steep と似てますよね。

steeple = 尖塔

尖塔、いわゆる教会などの建物の先っぽのとんがった部分のことです。

steeple

steeple

調べてみたところ steeple と steep は、やはり同じ語源なのだそうです。

steep のもともとの語源は「高い」という意味だそうで、steeple は「高い塔」という意味とのことです。

ちょっと脇道にそれましたが、ボキャブラリーどうしは関連づけると記憶に残りやすいので、言及してみました。

sheer の「険しい」以外の用法

次に sheer の「険しい」以外の用例を探してみました。

映画『雨に唄えば』より
KATHY : But for lunch, don’t you usually tear a pheasant with Miss Lamont?
DON : Look, Kathy. All that stuff about Lina and me is sheer publicity.

キャシー「(食事に誘われて)でも、お昼ごはんはいつもラモントさんといいもの食べてるんでしょ」
ドン「なあ、キャシー。あれはまったくのマスコミのでっち上げだよ」

映画『猿の惑星(1968)』より
To suggest that we can learn anything about the simian nature from the study of man is sheer nonsense.
(人間などを研究することで猿類の学問に役立つなど、まったくバカげてる)

ちなみに上の用例は猿がしゃべっているセリフです。

こうしてみると、sheer は「険しい」以外では、「まったくの」の意味で使われることがほとんどですね。
「薄い」の用例はシースルーの下着を描写するくらいでしょうか。

以上、steep と sheer の違いと用法あれこれでした。

その他の注目ボキャブラリー

What now? = 今度は何?、次の一手は?

Says who? = そんなこと誰が言ったの?
相手が言ったことを軽く否定するときに使える言い回し。
また、単純に「そんなこと誰が言ってるの?」と質問するときにも使われますが、その場合ちょっと「信じられない」みたいなニュアンスが伴います。

distract = (相手の気を)散らす、そらす

block out = 遮断する

concentrate = 集中する

あとがき

本日はディズニー映画『アナと雪の女王』に出てきた steep と sheer という単語をピックアップして英語の勉強をしてみました。

こんな感じに、初めて出くわしたボキャブラリーは、他のボキャブラリーとの関連性や違いに注目して把握してゆくと、意味も体系的に捉えやすいですし、何より記憶に残りやすいですよね。