よく英語学習関係のサイトを見ていると、「英語の聴き流しは有効か?」という疑問にぶち当たります。
英語の聴き流しはリスニングの修得に「とても有効」と主張する人もいれば、「あまり意味がない」という人もいますね。
私の意見では、英語の聴き流しは、ある条件つきで、とても効果的な学習手段になり得る、と考えます。
その条件というのが、「精聴」をしっかり行うこと、なんですね。
この記事では英語のリスニング上達になぜ精聴が有効なのか、その方法について書きたいと思います。
リスニングのコツは「多聴」と「精聴」
英語のリスニングの上達には、「多聴」と「精聴」の両方が大切、とよく言われます。
「多聴」とは文字通り、英語をしゃべっている音声をたくさん聴くこと。
聴き取れなくても一時停止などは押さずに、「だいたいこんなようなことを言っているのかな?」と想像で埋め合わせたりして、とにかく量を聴きまくる。
「精聴」とはその反対で、英語をしゃべっている音声を、聴き取れなかったら一時停止を押して、テキストにあたり、知らないボキャブラリーがあったら辞書で調べて、完全に理解しながら聴いていく。
よく「多聴」と「精聴」どちらが重要か、なんて疑問を聞きますが、この2つは両方をバランスよく取り入れて初めて効果的だと言えるので、どちらが重要、なんて疑問そのものがナンセンスです。
重要なのはその比率。
どこかのサイトに「多聴」は「精聴」の倍の時間をやる、と書いてありましたが、私もそんな感じが理想だと思います。
もし、私の想像を超えるような何かしら特別な事情があって、「多聴」か「精聴」のどちらかしかやれない、というのなら、迷わず「精聴」をやるべきです。
「多聴」は、単独ではあまりリスニングの上達には繋がりません。
しかし基本的には、両方をバランスよくやって初めて意味があることだと思います。
映画を使った効果的な精聴方法
リスニング力が飛躍的に上達する、英語の精聴におすすめの教材が映画です。
何度くりかえし見ても飽きないおもしろい映画を選べば、楽しくリスニングができますし、映画のセリフは生きた会話ですし、なにより英語字幕なりネットでダウンロードできるスクリプトファイルなりで、英文の書き起こしが簡単に入手できる点がいい。
リスニングの精聴にこれ以上の教材はないと言っても過言ではないでしょう。
それではここで、映画を使った具体的な精聴方法をご紹介します。
(1)まず、映画のDVDを再生する。
(2)聴き取れないセリフが出てきたら、一時停止。
(3)セリフの書き起こし、または英語字幕をチェックし、なんと言っているのかつきとめる。
(4)知らない単語・表現があったら、辞書などで調べる。
(5)DVDをちょっと巻き戻し、同じ部分を、繰り返し聴く。
(6)続けて再生していく。
あとは(2)からをずっと繰り返す。
ちょっと補足しますと、
(4)は、できれば、ただ一種類の辞書で引くだけじゃなくて、インターネットの検索機能などを使って、もっと詳しく多角的に調べましょう。
(この調べ方に関しては、英語の学習にインターネットをフル活用するべしという記事に書きましたので、合わせてお読みください)
(5)は、書き起こしのテキスト通りに、すべての単語がひとつひとつ、しっかり聴こえてくるまで何度も聴きます。
リスニングが上達する最大のコツはこの部分なので、ここはかなり重要なポイントです。
ここをしっかりやらないと、まったく意味がなくなります。
ちなみに、たまにフィルタがかかった声とか、訛りとか、しゃべり方が妙にゴニョゴニョしてたりとかで、英語がよく聴き取りにくいことがあります。
5回とか10回とか聴いてもテキスト通りに聴こえてこない場合は、諦めて次に進んでもいいでしょう。
おそらく最初のうちは、ほとんど数秒毎に一時停止を押して、一日で映画の尺にして1分ぶんも進まない、といった感じだと思います。
「こんな調子じゃ最後まで終わらないよ!」とうんざりするかもしれません。
でも、それでいいんです。
いっそ、「最後まで終わらなくたっていいじゃん」と開き直ることが肝心です。
1日に30分とか1時間とか、精聴する時間を決めて、とにかく毎日やることが肝心です。
時間のない方は、1日10分でもいいです。
ちゃんと毎日やれば、数週間〜2ヶ月くらいかけてひとつの映画を征服できます。
それに、好きな映画を完全に理解しながら日数をかけて見ていくって、なかなか楽しいものです。
ぶっちゃけ、映画全編やるのはさすがにまどろっこしい、という方は、好きなシーンだけでもいいですが、ある程度ひとかたまりの会話部分でやる、というところがコツです。
精聴に加えて多聴も取り入れていこう
この、「何て言ってるかテキストで把握した上で、何度もその英語を聴く(=精聴)」って、リスニングの向上に一番、有効なんですね。
これ以上に効果的なリスニング力の修得方法はなく、これをやらずしてリスニング力の向上はありえない、と言っても過言ではありません。
で、この「精聴」を毎日少しづつやった上で、英語の聴き流し、つまり「多聴」をする。
これが、かなりリスニングの上達に効果的なのです。
「多聴」はとにかく、英語を聴きまくる。
時間のあるときに、無ければ時間を作って、英語の映画やテレビ番組などを字幕なしで見まくる。
寝るとき、掃除をしているとき、通勤時間の電車のなかでヘッドホンをして、英語の音楽やPodcast、ニュースなどをずっと流しておく、など。
で、ここかなり重要ですが、この「多聴」の時間に、過去に「精聴」で征服した映画のDVDを見る時間も加える。
いわゆる「精聴」の復習を、「多聴」の時間に組み込むわけですね。
ちなみに小説の原書とオーディオブックで勉強している方は、ヘッドホンでオーディオブックを聴きながら、小説の文字を目で追う、という訓練をやると、かなり勉強になります。
(リーディング力が飛躍的に上達します)
毎日1時間以上「精聴」をやり、並行して「多聴」をやっていけば、日増しにリスニング力が上がっていくのがわかります。
個人差はありますが、おそらく1年以内には字幕なしで映画を観れるようになると思います。
私は40代の頭のカタさで、「精聴」を1日30分くらいしかやってませんでしたが、じゅうぶん1年くらいで映画が字幕なしでわかるようになりました。
毎日10分くらいづつでも、確実にリスニング力は上がっていくので、やってみてください。
これは、ボキャブラリーを確実に増やしながら、リスニング力を上げていける最善の方法なんですね。
さらに精聴について知りたい方へ(追記)
映画を使ったリスニングの勉強法についての決定版!ともいえる記事を新たに書きました。
ぜひ合わせてお読みください。
↓留学せずに独学で英会話が上達できるコツを記事にしています↓
↓また、映画で英語を勉強していて効率が低下してしまう問題について解決案を記事にしています↓
↓英語学習初心者が映画で英語を勉強する際の条件、考え方についての記事です↓
私の経験では、精聴にもっとも適した映画はクエンティン・タランティーノ脚本・監督の映画です。
その理由についての記事を新たに書きましたので、こちらもぜひご一読ください。
また、英語のリスニングの多聴におすすめしたいのが、海外のコント番組とトークショーです。
海外のコント番組とトークショーについて、いかに英語のリスニングに有効か、おすすめの番組は、などの内容で新たに記事を書きましたので、ぜひご一読ください。
ただし、最近はコント番組も書き起こしのスクリプトがネットに出回るようになりましたので、コントの場合は精聴の素材としても大いに活用できます。
皆さまの英語力の向上にお役に立てれば幸いです。
ぜひ参考にしてください。